@IDX:16000
@OFF:0xe8
@SPK:
@JPN:　………………。
@ENG:

@IDX:16001
@OFF:0x11a
@SPK:
@JPN:　…………。
@ENG:

@IDX:16002
@OFF:0x148
@SPK:
@JPN:　……。
@ENG:

@IDX:16003
@OFF:0x1ce
@SPK:
@JPN:　窓から差し込む朝の光が、覚醒を導く。
@ENG:

@IDX:16004
@OFF:0x202
@SPK:
@JPN:　泥沼から抜け出すように、ゆっくりと目を開ける。　
@ENG:

@IDX:16005
@OFF:0x254
@SPK:
@JPN:　とても怖い夢を見た。
@ENG:

@IDX:16006
@OFF:0x278
@SPK:
@JPN:　内容は思い出せないけど、とても怖い夢だった。
@ENG:

@IDX:16007
@OFF:0x2b4
@SPK:
@JPN:　胸の辺りにズンと重い感じが残っている。
@ENG:

@IDX:16008
@OFF:0x2fa
@SPK:
@JPN:　一番近い表現をするなら、罪悪感。
@ENG:

@IDX:16009
@OFF:0x32a
@SPK:
@JPN:　何か取り返しのつかないことをしてしまった。
@ENG:

@IDX:16010
@OFF:0x364
@SPK:
@JPN:　そんな気がする。
@ENG:

@IDX:16011
@OFF:0x384
@SPK:
@JPN:　罪悪感。そして、喪失感。
@ENG:

@IDX:16012
@OFF:0x3d9
@SPK:
@JPN:　『だって、あなたはやってしまったんですもの』
@ENG:

@IDX:16013
@OFF:0x519
@SPK:
@JPN:　声が聞こえる。
@ENG:

@IDX:16014
@OFF:0x537
@SPK:
@JPN:　また声が聞こえる。
@ENG:

@IDX:16015
@OFF:0x559
@SPK:
@JPN:　僕を責める声が。
@ENG:

@IDX:16016
@OFF:0x5a0
@SPK:
@JPN:　　　　『あなたは終わらせてしまった』
@ENG:

@IDX:16017
@OFF:0x6f3
@SPK:
@JPN:　　　　　『あなたは消してしまった』
@ENG:

@IDX:16018
@OFF:0x844
@SPK:
@JPN:　　　　　　　『止めてしまった』
@ENG:

@IDX:16019
@OFF:0x991
@SPK:
@JPN:　　　　　　　『失くしてしまった』
@ENG:

@IDX:16020
@OFF:0xac9
@SPK:
@JPN:　やめろ。
@ENG:

@IDX:16021
@OFF:0xae1
@SPK:
@JPN:　やめてくれ！
@ENG:

@IDX:16022
@OFF:0xafd
@SPK:
@JPN:　僕は何もしてない！
@ENG:

@IDX:16023
@OFF:0xb1f
@SPK:
@JPN:　僕は何も終わらせていない！
@ENG:

@IDX:16024
@OFF:0xb49
@SPK:
@JPN:　僕は何も消していない！！！
@ENG:

@IDX:16025
@OFF:0xb91
@SPK:
@JPN:　それでも声は聞こえ続ける。
@ENG:

@IDX:16026
@OFF:0xbbb
@SPK:
@JPN:　僕を責める声が……。
@ENG:

@IDX:16027
@OFF:0xbef
@SPK:
@JPN:　幻聴だ。
@ENG:

@IDX:16028
@OFF:0xc07
@SPK:
@JPN:　これはただの幻聴だ。
@ENG:

@IDX:16029
@OFF:0xc2b
@SPK:
@JPN:　薬を飲めば治る……。
@ENG:

@IDX:16030
@OFF:0xc4f
@SPK:
@JPN:　薬を飲めば治る！
@ENG:

@IDX:16031
@OFF:0xc7f
@SPK:
@JPN:　自分に言い聞かせ、布団から這い出る。
@ENG:

@IDX:16032
@OFF:0xcb3
@SPK:
@JPN:　バッグの傍らに無造作に放り出してある薬袋を開き　青い錠剤を取り出す。
@ENG:

@IDX:16033
@OFF:0xd07
@SPK:
@JPN:　５～６錠をためらいもなく飲み込む。
@ENG:

@IDX:16034
@OFF:0xd39
@SPK:
@JPN:　いつもの量では効かないような気がしたのだ。
@ENG:

@IDX:16035
@OFF:0xe91
@SPK:
@JPN:　尾てい骨の辺りに熱感が生まれ、背筋をゾワリと這　い上がってくる。
@ENG:

@IDX:16036
@OFF:0xee1
@SPK:
@JPN:　ブルブルと身震いしてその感覚を味わう。
@ENG:

@IDX:16037
@OFF:0xf17
@SPK:
@JPN:　その熱は頭頂から抜け出ていく。
@ENG:

@IDX:16038
@OFF:0xf45
@SPK:
@JPN:　すると、スッと頭の中から霧が晴れるような感じが　して、幻聴が消えていく。
@ENG:

@IDX:16039
@OFF:0xfaf
@SPK:
@JPN:　大丈夫だ。
@ENG:

@IDX:16040
@OFF:0xfc9
@SPK:
@JPN:　この薬があれば大丈夫だ。
@ENG:

@IDX:16041
@OFF:0xff1
@SPK:
@JPN:　これさえ飲んでいればどんなことでもできる……。　
@ENG:

@IDX:16042
@OFF:0x1043
@SPK:
@JPN:　そう言えば、いつの間にか薬が増えていないか？
@ENG:

@IDX:16043
@OFF:0x107f
@SPK:
@JPN:　昨日、副院長の部屋に薬をもらいに行って……。
@ENG:

@IDX:16044
@OFF:0x10bb
@SPK:
@JPN:　………………。
@ENG:

@IDX:16045
@OFF:0x10eb
@SPK:
@JPN:　だめだ。
@ENG:

@IDX:16046
@OFF:0x1103
@SPK:
@JPN:　そこまでしか思い出せない。
@ENG:

@IDX:16047
@OFF:0x112d
@SPK:
@JPN:　どうやって帰ってきて、いつ横になったんだ？
@ENG:

@IDX:16048
@OFF:0x1177
@SPK:
@JPN:　夜中に一度起きたような記憶はあるが、その前後が　はっきりしない。
@ENG:

@IDX:16049
@OFF:0x11c7
@SPK:
@JPN:　………………。
@ENG:

@IDX:16050
@OFF:0x11e5
@SPK:
@JPN:　だめだ、いくら考えても思い出せない。
@ENG:

@IDX:16051
@OFF:0x1229
@SPK:
@JPN:　思い出せないってことは、それほど重要な記憶では　ないのだろうか？
@ENG:

@IDX:16052
@OFF:0x1279
@SPK:
@JPN:　まあいい。今は仕事に行こう。
@ENG:

@IDX:16053
@OFF:0x12a5
@SPK:
@JPN:　動いているうちに思い出すかもしれない。
@ENG:

@IDX:16055
@OFF:0x13d9
@SPK:［真魚］
@JPN:　入るよー。
@ENG:

@IDX:16058
@OFF:0x141b
@SPK:[\protag]
@JPN:　ああ。
@ENG:

@IDX:16060
@OFF:0x1502
@SPK:［真魚］
@JPN:　ありゃ、なんか顔色悪いね。だいじょぶ？
@ENG:

@IDX:16063
@OFF:0x1560
@SPK:[\protag]
@JPN:　問題ない。
@ENG:

@IDX:16065
@OFF:0x15af
@SPK:［真魚］
@JPN:　ほんとに大丈夫？　何なら今日は休む？
@ENG:

@IDX:16068
@OFF:0x160b
@SPK:[\protag]
@JPN:　大丈夫だ。それより早くミーティングを始めてくれ。
@ENG:

@IDX:16070
@OFF:0x16fa
@SPK:［真魚］
@JPN:　う、うん。きみがそう言うならいいんだけど……でも、先輩も休んでるし、何か病気が流行ってるのかな？
@ENG:

@IDX:16073
@OFF:0x1792
@SPK:[\protag]
@JPN:　先輩？
@ENG:

@IDX:16075
@OFF:0x17dd
@SPK:［真魚］
@JPN:　珍しいと思わない？　あの真面目な先輩が無断欠勤なんて。
@ENG:

@IDX:16078
@OFF:0x184b
@SPK:[\protag]
@JPN:　欠勤……御堂……。
@ENG:

@IDX:16079
@OFF:0x18fe
@SPK:
@JPN:　また胸が締めつけられるような感じがしてくる。
@ENG:

@IDX:16080
@OFF:0x193a
@SPK:
@JPN:　何なんだ、この感覚は？
@ENG:

@IDX:16081
@OFF:0x1970
@SPK:
@JPN:　思わずグッと胸を押さえてしまう。
@ENG:

@IDX:16082
@OFF:0x19a0
@SPK:
@JPN:　罪悪感、喪失感……。
@ENG:

@IDX:16083
@OFF:0x19c4
@SPK:
@JPN:　そういったものと近しい感覚。
@ENG:

@IDX:16084
@OFF:0x19f0
@SPK:
@JPN:　だが、なぜそんな感覚を抱くのかが分からない。
@ENG:

@IDX:16085
@OFF:0x1a3c
@SPK:
@JPN:　だんだんと寒気がしてきた。
@ENG:

@IDX:16086
@OFF:0x1a66
@SPK:
@JPN:　ガタガタと身体も震え始める。
@ENG:

@IDX:16087
@OFF:0x1a92
@SPK:
@JPN:　必死に自分に言い聞かせる。
@ENG:

@IDX:16088
@OFF:0x1abc
@SPK:
@JPN:　大丈夫。大丈夫。僕は大丈夫だ。
@ENG:

@IDX:16089
@OFF:0x1b11
@SPK:
@JPN:　　　　　　　　　『私は……』
@ENG:

@IDX:16090
@OFF:0x1b61
@SPK:
@JPN:　また声が聞こえてきた。
@ENG:

@IDX:16091
@OFF:0x1b87
@SPK:
@JPN:　幻聴だ。ただの幻聴だ。
@ENG:

@IDX:16092
@OFF:0x1bad
@SPK:
@JPN:　何の意味もない幻聴だ。
@ENG:

@IDX:16093
@OFF:0x1bfa
@SPK:
@JPN:　　　　　　『私は……大丈夫……？』
@ENG:

@IDX:16094
@OFF:0x1c50
@SPK:
@JPN:　大丈夫だ。僕はおかしくない。
@ENG:

@IDX:16095
@OFF:0x1c7c
@SPK:
@JPN:　大丈夫だ……。
@ENG:

@IDX:16096
@OFF:0x1cc1
@SPK:
@JPN:　　『あなたは大丈夫でも……私は大丈夫？』
@ENG:

@IDX:16097
@OFF:0x1d1d
@SPK:
@JPN:　そうだ。僕は大丈夫だ。
@ENG:

@IDX:16098
@OFF:0x1d43
@SPK:
@JPN:　大丈夫なんだ。
@ENG:

@IDX:16099
@OFF:0x1d88
@SPK:
@JPN:　『私にあんなことしたのに、本当に大丈夫？』
@ENG:

@IDX:16101
@OFF:0x1e1d
@SPK:［真魚］
@JPN:　ねえ、大丈夫なの？
@ENG:

@IDX:16102
@OFF:0x1e65
@SPK:
@JPN:　突然、声がはっきり聞こえるようになった。
@ENG:

@IDX:16103
@OFF:0x1e9d
@SPK:
@JPN:　違う。僕は大丈夫だ。
@ENG:

@IDX:16104
@OFF:0x1ec1
@SPK:
@JPN:　僕はおかしくない。僕はおかしくない。
@ENG:

@IDX:16106
@OFF:0x1f3e
@SPK:［真魚］
@JPN:　ねえってば。聞こえてるの？　大丈夫？
@ENG:

@IDX:16107
@OFF:0x1f98
@SPK:
@JPN:　大丈夫だ。僕は大丈夫だ。
@ENG:

@IDX:16108
@OFF:0x1fc0
@SPK:
@JPN:　この薬を飲めば、きっと収まる。
@ENG:

@IDX:16109
@OFF:0x1fee
@SPK:
@JPN:　大丈夫だ。大丈夫だ……。
@ENG:

@IDX:16110
@OFF:0x2028
@SPK:
@JPN:　震える手で青い錠剤を取り出す。
@ENG:

@IDX:16111
@OFF:0x2056
@SPK:
@JPN:　一粒、二粒…………。
@ENG:

@IDX:16113
@OFF:0x2179
@SPK:［真魚］
@JPN:　ねぇ！！
@ENG:

@IDX:16114
@OFF:0x21c9
@SPK:
@JPN:　突然身体がガクガクと揺すられた。
@ENG:

@IDX:16115
@OFF:0x21f9
@SPK:
@JPN:　手の上に出していた錠剤もこぼれ落ちてしまう。
@ENG:

@IDX:16118
@OFF:0x2271
@SPK:[\protag]
@JPN:　あ、あっ、あぁ……。
@ENG:

@IDX:16120
@OFF:0x2340
@SPK:［真魚］
@JPN:　あっ、ごめん。
@ENG:

@IDX:16121
@OFF:0x2382
@SPK:
@JPN:　床に落ちた錠剤。
@ENG:

@IDX:16122
@OFF:0x23a2
@SPK:
@JPN:　僕の掌からこぼれ落ちた錠剤。
@ENG:

@IDX:16123
@OFF:0x23ce
@SPK:
@JPN:　僕を大丈夫にしてくれる錠剤。
@ENG:

@IDX:16124
@OFF:0x23fa
@SPK:
@JPN:　僕を狂気から守ってくれる錠剤。
@ENG:

@IDX:16125
@OFF:0x2428
@SPK:
@JPN:　僕の大事な、青い錠剤。
@ENG:

@IDX:16128
@OFF:0x248a
@SPK:[\protag]
@JPN:　お前……。
@ENG:

@IDX:16130
@OFF:0x24d9
@SPK:［真魚］
@JPN:　ほえ？
@ENG:

@IDX:16133
@OFF:0x2517
@SPK:[\protag]
@JPN:　お前、自分が何したのか分かってるのか？
@ENG:

@IDX:16135
@OFF:0x2582
@SPK:［真魚］
@JPN:　え？　だからごめんって言ったじゃん。何の薬なの、それ？　処方箋があれば代わりのをもらってきてあげるよ。
@ENG:

@IDX:16138
@OFF:0x2620
@SPK:[\protag]
@JPN:　今いるんだよ！　今飲まないとダメなんだよ！
@ENG:

@IDX:16140
@OFF:0x2709
@SPK:［真魚］
@JPN:　え？　え？　なんなの？　きみ持病もちだったの？
@ENG:

@IDX:16143
@OFF:0x276f
@SPK:[\protag]
@JPN:　違う！　違う！　そんなんじゃない！　病気なんかじゃない！僕は大丈夫なんだ！　僕は大丈夫なんだ！！
@ENG:

@IDX:16145
@OFF:0x2814
@SPK:［真魚］
@JPN:　ちょ、ちょっと待ってよ。なに言ってるのか分かんないよ……一体なんなの？　なんの薬なの？
@ENG:

@IDX:16148
@OFF:0x28a2
@SPK:[\protag]
@JPN:　もう行け！　僕がほんとに怒る前にどこかへ行け！
@ENG:

@IDX:16150
@OFF:0x298f
@SPK:［真魚］
@JPN:　で、でもミーティングがまだ……。
@ENG:

@IDX:16153
@OFF:0x29e7
@SPK:[\protag]
@JPN:　僕を怒らせるなよ……。じゃないと僕は……。
@ENG:

@IDX:16155
@OFF:0x2a5e
@SPK:［女の声］
@JPN:　いいから行きなさい。佐伯さん。
@ENG:

@IDX:16157
@OFF:0x2c07
@SPK:［真魚］
@JPN:　副院長先生！
@ENG:

@IDX:16159
@OFF:0x2c58
@SPK:［千草］
@JPN:　後は私に任せなさい。
@ENG:

@IDX:16161
@OFF:0x2cb1
@SPK:［真魚］
@JPN:　う、うん……それじゃ。
@ENG:

@IDX:16164
@OFF:0x2e9f
@SPK:[\protag]
@JPN:　………………。
@ENG:

@IDX:16166
@OFF:0x2f74
@SPK:［千草］
@JPN:　もう、あんまり佐伯さんをいじめないの。
@ENG:

@IDX:16169
@OFF:0x2fd2
@SPK:[\protag]
@JPN:　でも、あいつ僕の薬を……。
@ENG:

@IDX:16171
@OFF:0x30a7
@SPK:［千草］
@JPN:　しょうがないでしょ？　あなたにとってこの薬がどんなに大切なものなのか、あの子は知らないんだから。
@ENG:

@IDX:16172
@OFF:0x313d
@SPK:
@JPN:　そう言って副院長は、薬袋を差し出してくる。
@ENG:

@IDX:16173
@OFF:0x3177
@SPK:
@JPN:　そのにこやかな表情が僕の怒りを鎮めてくれる。
@ENG:

@IDX:16176
@OFF:0x31ef
@SPK:[\protag]
@JPN:　あ、薬……持ってきてくれたんですか……？
@ENG:

@IDX:16178
@OFF:0x32d2
@SPK:［千草］
@JPN:　そうよ。だってあなた、昨夜二袋渡したのに、片方忘れて帰っちゃうんですもの。
@ENG:

@IDX:16181
@OFF:0x3354
@SPK:[\protag]
@JPN:　昨夜……？　二袋……？
@ENG:

@IDX:16183
@OFF:0x33af
@SPK:［千草］
@JPN:　何？　それも忘れちゃったの？　青い薬が足りないって言うから、追加してあげたんじゃない。
@ENG:

@IDX:16186
@OFF:0x343d
@SPK:[\protag]
@JPN:　僕が……？
@ENG:

@IDX:16188
@OFF:0x3502
@SPK:［千草］
@JPN:　まあいいわ……はい、もう忘れないでね。
@ENG:

@IDX:16191
@OFF:0x3560
@SPK:[\protag]
@JPN:　ありがとうございます……。
@ENG:

@IDX:16193
@OFF:0x3635
@SPK:［千草］
@JPN:　あっ、そうそう、その青い薬、今までのより少し強くしてあるから。飲む時は気をつけてね。
@ENG:

@IDX:16196
@OFF:0x36c1
@SPK:[\protag]
@JPN:　強く……？
@ENG:

@IDX:16198
@OFF:0x3710
@SPK:［千草］
@JPN:　ええ。薬の効き目がだいぶ弱くなってるって言ったでしょ？　だから調合を少し変えてみたの。
@ENG:

@IDX:16201
@OFF:0x379e
@SPK:[\protag]
@JPN:　そうですか。ありがとうございます。
@ENG:

@IDX:16203
@OFF:0x387b
@SPK:［千草］
@JPN:　さてと……佐伯さんは帰しちゃったから、ミーティングは私がするわね。
@ENG:

@IDX:16206
@OFF:0x38f5
@SPK:[\protag]
@JPN:　は、はい。すみません。
@ENG:

@IDX:16208
@OFF:0x3950
@SPK:［千草］
@JPN:　いいのよ。あなたが謝る必要はないわ。じゃ、始めるわね。
@ENG:

@IDX:16210
@OFF:0x39cb
@SPK:［千草］
@JPN:　今日のスケジュールは朝、昼、夜の３回の作業よ。朝に洗ってもらうご遺体は男性が１体。傷はなしよ。
@ENG:

@IDX:16213
@OFF:0x3a61
@SPK:[\protag]
@JPN:　ち、ちょっと待ってください。３回ってどういうことですか？
@ENG:

@IDX:16215
@OFF:0x3b54
@SPK:［千草］
@JPN:　……ごめんなさい。スケジュールがどうしても合わなくて。
@ENG:

@IDX:16218
@OFF:0x3bc2
@SPK:[\protag]
@JPN:　い、いや、副院長を責めてるわけじゃ……。
@ENG:

@IDX:16220
@OFF:0x3c2f
@SPK:［千草］
@JPN:　こんなことはもうないようにするわ。だから今回だけは我慢してちょうだい。
@ENG:

@IDX:16223
@OFF:0x3cad
@SPK:[\protag]
@JPN:　分かり……ました。
@ENG:

@IDX:16225
@OFF:0x3d04
@SPK:［千草］
@JPN:　……あと、昨夜のことだけど。
@ENG:

@IDX:16228
@OFF:0x3d58
@SPK:[\protag]
@JPN:　昨夜？
@ENG:

@IDX:16230
@OFF:0x3da3
@SPK:［千草］
@JPN:　あなたは私の部屋に薬をもらいに来ただけ……。他には何もなかった。いいわね。誰かに聞かれたら、そう答えるのよ。それで大丈夫だから……あなたも、私も。
@ENG:

@IDX:16233
@OFF:0x3e6d
@SPK:[\protag]
@JPN:　あの……。
@ENG:

@IDX:16235
@OFF:0x3ebc
@SPK:［千草］
@JPN:　なに、まだ不安なの？　言ってごらんなさい。できるだけのことはしてあげるから。
@ENG:

@IDX:16238
@OFF:0x3f40
@SPK:[\protag]
@JPN:　昨夜、何かあったんですか？
@ENG:

@IDX:16240
@OFF:0x4015
@SPK:［千草］
@JPN:　ぷっ！！　そうそう。それでいいのよ。
@ENG:

@IDX:16243
@OFF:0x4071
@SPK:[\protag]
@JPN:　は、はあ。
@ENG:

@IDX:16245
@OFF:0x40c0
@SPK:［千草］
@JPN:　フフフ。でも私にまでとぼける必要はないわよ？　それじゃ、仕事頑張ってね。
@ENG:

@IDX:16246
@OFF:0x4164
@SPK:
@JPN:　笑顔を残して、副院長は行ってしまった。
@ENG:

@IDX:16247
@OFF:0x419a
@SPK:
@JPN:　昨夜、何かあったのか？
@ENG:

@IDX:16248
@OFF:0x41d2
@SPK:
@JPN:　僕の記憶がない部分。
@ENG:

@IDX:16249
@OFF:0x41f6
@SPK:
@JPN:　副院長室での出来事。
@ENG:

@IDX:16250
@OFF:0x4241
@SPK:
@JPN:　　　　　『忘れてしまったの……？』
@ENG:

@IDX:16251
@OFF:0x4293
@SPK:
@JPN:　また声が聞こえてきた。
@ENG:

@IDX:16252
@OFF:0x42b9
@SPK:
@JPN:　無視だ。こんな幻聴なんて無視だ。
@ENG:

@IDX:16253
@OFF:0x42e9
@SPK:
@JPN:　別に副院長室で何があったのかなんて思い出さなく　てもいい。
@ENG:

@IDX:16254
@OFF:0x4333
@SPK:
@JPN:　副院長が何もなかったと言ってるんだ。
@ENG:

@IDX:16255
@OFF:0x4367
@SPK:
@JPN:　だったら、何もなかったでいいじゃないか。
@ENG:

@IDX:16256
@OFF:0x4406
@SPK:
@JPN:　念のため、洗い場に行く前に薬を飲んでおこう。
@ENG:

@IDX:16257
@OFF:0x4442
@SPK:
@JPN:　もし、洗い場で動けなくなったら大変だ。
@ENG:

@IDX:16258
@OFF:0x4478
@SPK:
@JPN:　あんなところで、遺体と二人きり。
@ENG:

@IDX:16259
@OFF:0x44a8
@SPK:
@JPN:　想像しただけでゾッとする。
@ENG:

@IDX:16260
@OFF:0x453c
@SPK:
@JPN:　もう遺体に対する恐怖はほとんど感じない。
@ENG:

@IDX:16261
@OFF:0x4574
@SPK:
@JPN:　平然と作業を進めていく。
@ENG:

@IDX:16262
@OFF:0x459c
@SPK:
@JPN:　胸、腹、足、腕……。
@ENG:

@IDX:16263
@OFF:0x45c0
@SPK:
@JPN:　ブラシで身体の正面を擦っていく。
@ENG:

@IDX:16264
@OFF:0x4600
@SPK:
@JPN:　大まかな部分を洗い終えて、少し手を休める。
@ENG:

@IDX:16265
@OFF:0x463a
@SPK:
@JPN:　グッと腰を伸ばす。
@ENG:

@IDX:16266
@OFF:0x465c
@SPK:
@JPN:　胸骨がポキッと鳴る。
@ENG:

@IDX:16267
@OFF:0x4680
@SPK:
@JPN:　普段あまり鳴らない場所が鳴ったことが、何となく　可笑しくて思わずクスッと笑ってしまう。
@ENG:

@IDX:16268
@OFF:0x476f
@SPK:
@JPN:　洗い場に響く水滴の音。
@ENG:

@IDX:16269
@OFF:0x4795
@SPK:
@JPN:　それと同時に部屋全体が薄暗くなった。
@ENG:

@IDX:16270
@OFF:0x47c9
@SPK:
@JPN:　蛍光灯が切れたのかと思って天井を仰ぎ見る。
@ENG:

@IDX:16271
@OFF:0x4803
@SPK:
@JPN:　しかし消えている蛍光灯はなかった。
@ENG:

@IDX:16272
@OFF:0x4835
@SPK:
@JPN:　全ての蛍光灯は光を放っている。
@ENG:

@IDX:16273
@OFF:0x4863
@SPK:
@JPN:　ただし、それらが放つ光は弱々しく、いつもと様子　が違っていた。
@ENG:

@IDX:16274
@OFF:0x48c1
@SPK:
@JPN:　完全な闇というわけではない。
@ENG:

@IDX:16275
@OFF:0x48ed
@SPK:
@JPN:　部屋の中の様子は辛うじて分かる。
@ENG:

@IDX:16276
@OFF:0x491d
@SPK:
@JPN:　壁、床、ホルマリンプール、扉。
@ENG:

@IDX:16277
@OFF:0x494b
@SPK:
@JPN:　いつぞやのように転ぶことはないだろう。
@ENG:

@IDX:16278
@OFF:0x4993
@SPK:
@JPN:　ただ、このままでは作業がしにくい。
@ENG:

@IDX:16279
@OFF:0x49c5
@SPK:
@JPN:　とりあえず上と連絡を取ってみよう。
@ENG:

@IDX:16280
@OFF:0x4a05
@SPK:
@JPN:　ゆっくりとした動きでインターフォンに向かう。
@ENG:

@IDX:16281
@OFF:0x4a41
@SPK:
@JPN:　床の上にはあの男性の遺体しかないはずだが、念の　ために摺足で歩く。
@ENG:

@IDX:16282
@OFF:0x4a93
@SPK:
@JPN:　もうここで転ぶのはごめんだ。
@ENG:

@IDX:16283
@OFF:0x4abf
@SPK:
@JPN:　こんなところで転んだら、寿命が縮んでしまいそう　じゃないか。
@ENG:

@IDX:16284
@OFF:0x4b2b
@SPK:
@JPN:　再び水滴の落ちる音がする。
@ENG:

@IDX:16285
@OFF:0x4b55
@SPK:
@JPN:　一体あの水滴はどこから落ちてるんだ？
@ENG:

@IDX:16286
@OFF:0x4b89
@SPK:
@JPN:　きょろきょろと天井を見回しても水滴が垂れてくる　ような様子はない。
@ENG:

@IDX:16287
@OFF:0x4bdb
@SPK:
@JPN:　水漏れするような配管などがあるわけでもないし、　風呂場のように結露があるのでもない。
@ENG:

@IDX:16288
@OFF:0x4c4f
@SPK:
@JPN:　どういうことだ？
@ENG:

@IDX:16289
@OFF:0x4c6f
@SPK:
@JPN:　水滴がプールに落ちる音ではないのか？
@ENG:

@IDX:16290
@OFF:0x4ca3
@SPK:
@JPN:　……まあいいか。
@ENG:

@IDX:16291
@OFF:0x4cc3
@SPK:
@JPN:　それも一緒に鏑木さんに聞いてみよう。
@ENG:

@IDX:16292
@OFF:0x4cf7
@SPK:
@JPN:　今はとにかく、インターフォンだ。
@ENG:

@IDX:16293
@OFF:0x4d37
@SPK:
@JPN:　ようやく壁に辿り着く。
@ENG:

@IDX:16294
@OFF:0x4d5d
@SPK:
@JPN:　普段なら何のことはない距離なのに、この薄暗さの　せいか、倍以上の時間がかかったように感じる。
@ENG:

@IDX:16295
@OFF:0x4dc9
@SPK:
@JPN:　まあ、転ぶよりはマシか。
@ENG:

@IDX:16296
@OFF:0x4e11
@SPK:
@JPN:　受話器を手にとって、耳に当てる。
@ENG:

@IDX:16297
@OFF:0x4e41
@SPK:
@JPN:　…………？
@ENG:

@IDX:16298
@OFF:0x4e6d
@SPK:
@JPN:　何の音もしない。
@ENG:

@IDX:16299
@OFF:0x4e9f
@SPK:
@JPN:　何度かフックを押してみるが何の反応もない。
@ENG:

@IDX:16300
@OFF:0x4ed9
@SPK:
@JPN:　おかしいな。
@ENG:

@IDX:16301
@OFF:0x4f22
@SPK:
@JPN:　　　　　『私、副院長室にいるの……』
@ENG:

@IDX:16304
@OFF:0x4fae
@SPK:[\protag]
@JPN:　えっ？
@ENG:

@IDX:16305
@OFF:0x4ff4
@SPK:
@JPN:　突然受話器のむこうから女の声が聞こえてきた。
@ENG:

@IDX:16308
@OFF:0x506c
@SPK:[\protag]
@JPN:　もしもし？
@ENG:

@IDX:16309
@OFF:0x50ae
@SPK:
@JPN:　………………。
@ENG:

@IDX:16310
@OFF:0x50de
@SPK:
@JPN:　やっぱり何も聞こえない。
@ENG:

@IDX:16311
@OFF:0x5106
@SPK:
@JPN:　また空耳なのか？
@ENG:

@IDX:16312
@OFF:0x5126
@SPK:
@JPN:　薬が切れたのか？
@ENG:

@IDX:16313
@OFF:0x516a
@SPK:
@JPN:　何度もフックを押してみる。
@ENG:

@IDX:16314
@OFF:0x5194
@SPK:
@JPN:　プーともツーとも言わない。
@ENG:

@IDX:16317
@OFF:0x51fa
@SPK:[\protag]
@JPN:　もしもし？
@ENG:

@IDX:16318
@OFF:0x523c
@SPK:
@JPN:　もう一度呼びかけてみる。
@ENG:

@IDX:16319
@OFF:0x528b
@SPK:
@JPN:　　　　『私、今階段を下りてるの……』
@ENG:

@IDX:16320
@OFF:0x52e3
@SPK:
@JPN:　また聞こえた。
@ENG:

@IDX:16321
@OFF:0x5301
@SPK:
@JPN:　だが電話自体は繋がっていないように思える。
@ENG:

@IDX:16322
@OFF:0x535f
@SPK:
@JPN:　何度フックを押してみても、待機音が鳴らない。
@ENG:

@IDX:16323
@OFF:0x539b
@SPK:
@JPN:　つまり、電話として機能していない。
@ENG:

@IDX:16324
@OFF:0x53cd
@SPK:
@JPN:　じゃあ、あの声は一体……？
@ENG:

@IDX:16325
@OFF:0x541e
@SPK:
@JPN:　　　　　『今、扉の外まで来たわ……』
@ENG:

@IDX:16326
@OFF:0x5476
@SPK:
@JPN:　まただ。
@ENG:

@IDX:16327
@OFF:0x548e
@SPK:
@JPN:　何なんだ、この電話は？
@ENG:

@IDX:16328
@OFF:0x54d6
@SPK:
@JPN:　今度は受話器のむこうじゃない。
@ENG:

@IDX:16329
@OFF:0x5504
@SPK:
@JPN:　背後から音が聞こえた。
@ENG:

@IDX:16330
@OFF:0x552a
@SPK:
@JPN:　何かが浮き上がるような音。
@ENG:

@IDX:16331
@OFF:0x5554
@SPK:
@JPN:　何かが水の中から浮き上がってきたような音。
@ENG:

@IDX:16332
@OFF:0x55a8
@SPK:
@JPN:　頭の中に警報ランプが点る。
@ENG:

@IDX:16333
@OFF:0x55d2
@SPK:
@JPN:　振り向いちゃいけない。
@ENG:

@IDX:16334
@OFF:0x55f8
@SPK:
@JPN:　見てはいけない。
@ENG:

@IDX:16335
@OFF:0x562a
@SPK:
@JPN:　岩のように全身の筋肉が強張る。
@ENG:

@IDX:16336
@OFF:0x5658
@SPK:
@JPN:　振り向かない。
@ENG:

@IDX:16337
@OFF:0x5676
@SPK:
@JPN:　僕は振り向かない。
@ENG:

@IDX:16338
@OFF:0x56aa
@SPK:
@JPN:　耳に受話器を当てたまま、石にでもなったかのよう　に固まる。
@ENG:

@IDX:16339
@OFF:0x56f4
@SPK:
@JPN:　その時……。
@ENG:

@IDX:16340
@OFF:0x5737
@SPK:
@JPN:　　　　『今、あなたの後ろにいるわ……』
@ENG:

@IDX:16341
@OFF:0x5795
@SPK:
@JPN:　受話器から聞こえた声に導かれるように、頭が勝手　に振り向いていく。
@ENG:

@IDX:16342
@OFF:0x57e7
@SPK:
@JPN:　ダメだ。振り向いちゃダメだ。
@ENG:

@IDX:16343
@OFF:0x5813
@SPK:
@JPN:　哀願にも似た必死の抵抗。
@ENG:

@IDX:16344
@OFF:0x583b
@SPK:
@JPN:　しかし無情にも、僕の首は、その機械めいた動きを　止めようとしない。
@ENG:

@IDX:16345
@OFF:0x5941
@SPK:
@JPN:　　　　　　『私も、洗うの……？』
@ENG:

@IDX:16348
@OFF:0x5a69
@SPK:[\protag]
@JPN:　ーーーーーーーーーーーー！！！
@ENG:

@IDX:16349
@OFF:0x5b08
@SPK:
@JPN:　声にならない叫び声をあげ、洗い場を飛び出す。
@ENG:

@IDX:16350
@OFF:0x5b44
@SPK:
@JPN:　自分の見たものが信じられなかった。
@ENG:

@IDX:16351
@OFF:0x5b76
@SPK:
@JPN:　あれは、あれは……。
@ENG:

@IDX:16352
@OFF:0x5c60
@SPK:
@JPN:　　　　　　　　御
@ENG:

@IDX:16353
@OFF:0x5d2a
@SPK:
@JPN:堂
@ENG:

@IDX:16354
@OFF:0x5de4
@SPK:
@JPN:さ
@ENG:

@IDX:16355
@OFF:0x5e9e
@SPK:
@JPN:ん
@ENG:

@IDX:16356
@OFF:0x5f58
@SPK:
@JPN:だ
@ENG:

@IDX:16357
@OFF:0x6012
@SPK:
@JPN:っ
@ENG:

@IDX:16358
@OFF:0x60cc
@SPK:
@JPN:た
@ENG:

@IDX:16359
@OFF:0x6186
@SPK:
@JPN:。
@ENG:

@IDX:16360
@OFF:0x61ac
@SPK:
@JPN:　どうしてあんなところにいるんだ。
@ENG:

@IDX:16361
@OFF:0x61dc
@SPK:
@JPN:　どうしてあんな目で僕を見るんだ。
@ENG:

@IDX:16362
@OFF:0x620c
@SPK:
@JPN:　どうしてどうして……。
@ENG:

@IDX:16363
@OFF:0x62d5
@SPK:
@JPN:　頭の中が沸騰したようになっていて、まったく考え　がまとまらない。
@ENG:

@IDX:16364
@OFF:0x6325
@SPK:
@JPN:　ゴム手袋を脱ぎ捨て、薬袋から真新しい錠剤シート　を取り出す。
@ENG:

@IDX:16365
@OFF:0x6371
@SPK:
@JPN:　プチプチプチと３錠取り出して、グッと飲み込む。　
@ENG:

@IDX:16366
@OFF:0x63c1
@SPK:
@JPN:　落ち着け、落ち着け。
@ENG:

@IDX:16367
@OFF:0x63e5
@SPK:
@JPN:　気のせいだ。あんなの気のせいだ。
@ENG:

@IDX:16368
@OFF:0x6415
@SPK:
@JPN:　ホルマリンの中に人がいるわけがない。
@ENG:

@IDX:16369
@OFF:0x6449
@SPK:
@JPN:　あんなことはあり得ない。
@ENG:

@IDX:16370
@OFF:0x6483
@SPK:
@JPN:　電話だって空耳だ。
@ENG:

@IDX:16371
@OFF:0x64a5
@SPK:
@JPN:　きっと電圧かなにかのせいで不通になって、そこに　幻聴が被さって聞こえただけだ。
@ENG:

@IDX:16372
@OFF:0x6515
@SPK:
@JPN:　落ち着け、落ち着け。
@ENG:

@IDX:16373
@OFF:0x6539
@SPK:
@JPN:　落ち着け、落ち着け……。
@ENG:

@IDX:16374
@OFF:0x657b
@SPK:
@JPN:　………………。
@ENG:

@IDX:16375
@OFF:0x65ad
@SPK:
@JPN:　…………。
@ENG:

@IDX:16376
@OFF:0x65db
@SPK:
@JPN:　……。
@ENG:

@IDX:16377
@OFF:0x6679
@SPK:
@JPN:　ようやく気分が落ち着いてきた。
@ENG:

@IDX:16378
@OFF:0x66a7
@SPK:
@JPN:　よく考えてみれば、あんなことあるわけがない。
@ENG:

@IDX:16379
@OFF:0x66e3
@SPK:
@JPN:　ホルマリンの中に肩まで浸かるなんて生身の人間に　できるはずがない。
@ENG:

@IDX:16380
@OFF:0x6747
@SPK:
@JPN:　そうだ。
@ENG:

@IDX:16381
@OFF:0x675f
@SPK:
@JPN:　何かの見間違いだろう。
@ENG:

@IDX:16382
@OFF:0x6785
@SPK:
@JPN:　何かの見間違いに決まっている。
@ENG:

@IDX:16383
@OFF:0x6884
@SPK:
@JPN:　洗い場に戻ってみると、やはり何もなかった。
@ENG:

@IDX:16384
@OFF:0x68be
@SPK:
@JPN:　明かりはちゃんとついている。
@ENG:

@IDX:16385
@OFF:0x68ea
@SPK:
@JPN:　プールに異物も浮かんでない。
@ENG:

@IDX:16386
@OFF:0x6916
@SPK:
@JPN:　ただ床に横たわる男性の遺体があるだけ。
@ENG:

@IDX:16387
@OFF:0x695e
@SPK:
@JPN:　受話器は外れたままになっていた。
@ENG:

@IDX:16388
@OFF:0x698e
@SPK:
@JPN:　耳を当てるとプーと待機音が聞こえる。
@ENG:

@IDX:16389
@OFF:0x69c2
@SPK:
@JPN:　やっぱり気のせいだった。
@ENG:

@IDX:16390
@OFF:0x6a06
@SPK:
@JPN:　中途になっていた男性の遺体の清掃を再開する。
@ENG:

@IDX:16391
@OFF:0x6a54
@SPK:
@JPN:　顔をタワシで擦り、裏返して背中を洗う。
@ENG:

@IDX:16392
@OFF:0x6a8a
@SPK:
@JPN:　脇の下、尻の間、足の裏……。
@ENG:

@IDX:16393
@OFF:0x6ab6
@SPK:
@JPN:　丁寧に細かい部分を処理して終了……。
@ENG:

@IDX:16394
@OFF:0x6b04
@SPK:
@JPN:　あとは、鏑木さんに確認してもらうだけだ。
@ENG:

@IDX:16395
@OFF:0x6c61
@SPK:
@JPN:　遺体の確認が終わった後、鏑木さんは怪訝な顔で僕　に話しかけてきた。
@ENG:

@IDX:16397
@OFF:0x6cfc
@SPK:［鏑木］
@JPN:　どうした。やけに遅かったけど何かあったのか？
@ENG:

@IDX:16400
@OFF:0x6d60
@SPK:[\protag]
@JPN:　いえ、作業自体には問題なかったです。
@ENG:

@IDX:16402
@OFF:0x6dc9
@SPK:［鏑木］
@JPN:　作業自体？　なんだ、ずいぶん意味ありげな言い方をするじゃないか。
@ENG:

@IDX:16405
@OFF:0x6e41
@SPK:[\protag]
@JPN:　いや、別に他意があったわけじゃないです。途中で気分が悪くなっちゃって。
@ENG:

@IDX:16406
@OFF:0x6ebd
@SPK:
@JPN:　本当のことを言うつもりはなかった。
@ENG:

@IDX:16407
@OFF:0x6eef
@SPK:
@JPN:　どうせあれは僕の勘違い。
@ENG:

@IDX:16408
@OFF:0x6f17
@SPK:
@JPN:　他人に言ったところでどうなるものでもない。
@ENG:

@IDX:16410
@OFF:0x6f9a
@SPK:［鏑木］
@JPN:　なんだ？　少しは使えるようになったかと思ってたのに、いまさらホルマリン酔いか？
@ENG:

@IDX:16413
@OFF:0x7020
@SPK:[\protag]
@JPN:　いや、そう言われちゃうと面目ないです。
@ENG:

@IDX:16415
@OFF:0x708b
@SPK:［鏑木］
@JPN:　ま、なんだ。多少疲れが溜まってるんだろ。今日は確か……。
@ENG:

@IDX:16418
@OFF:0x70fb
@SPK:[\protag]
@JPN:　あと２回です。
@ENG:

@IDX:16420
@OFF:0x714e
@SPK:［鏑木］
@JPN:　そうだったな。昼まではまだ時間があるから、ゆっくり休め。
@ENG:

@IDX:16423
@OFF:0x71be
@SPK:[\protag]
@JPN:　はい。それじゃあ。
@ENG:

@IDX:16424
@OFF:0x72db
@SPK:
@JPN:　ミーティングに現れた真魚は機嫌が悪かった。
@ENG:

@IDX:16425
@OFF:0x7315
@SPK:
@JPN:　朝の仕事前のミーティングの時に脅すようなことを　言ったからだろう。
@ENG:

@IDX:16426
@OFF:0x7367
@SPK:
@JPN:　今考えてみると、なぜあんなことを言ったのか自分　でもよく分からない。
@ENG:

@IDX:16427
@OFF:0x73cd
@SPK:
@JPN:　次のミーティングの時にでも謝るか。
@ENG:

@IDX:16428
@OFF:0x73ff
@SPK:
@JPN:　徐々に頭の中で膨らんでくる眠気を感じながら、畳　の上に横になって、そんなことを考えていた。
@ENG:

@IDX:16429
@OFF:0x74d8
@SPK:
@JPN:　………………。
@ENG:

@IDX:16430
@OFF:0x750a
@SPK:
@JPN:　…………。
@ENG:

@IDX:16431
@OFF:0x7538
@SPK:
@JPN:　……。
@ENG:

@IDX:16432
@OFF:0x7601
@SPK:
@JPN:　んあ？
@ENG:

@IDX:16433
@OFF:0x7617
@SPK:
@JPN:　いつの間にか、寝てたみたいだな。
@ENG:

@IDX:16434
@OFF:0x7659
@SPK:
@JPN:　ん？
@ENG:

@IDX:16435
@OFF:0x766d
@SPK:
@JPN:　僕を起こしたのはこれか？
@ENG:

@IDX:16436
@OFF:0x76a7
@SPK:
@JPN:　僕の部屋か？
@ENG:

@IDX:16437
@OFF:0x76c3
@SPK:
@JPN:　確か、昨日もこんなことあったな。
@ENG:

@IDX:16438
@OFF:0x76f3
@SPK:
@JPN:　まさか、また誰もいないなんてことないよな。
@ENG:

@IDX:16439
@OFF:0x779c
@SPK:
@JPN:　床に這いつくばる。
@ENG:

@IDX:16440
@OFF:0x77be
@SPK:
@JPN:　僕の部屋の扉は下に少しだけ隙間がある。
@ENG:

@IDX:16441
@OFF:0x77f4
@SPK:
@JPN:　そこから覗けば外の様子が分かるはずだ。
@ENG:

@IDX:16442
@OFF:0x783a
@SPK:
@JPN:　いる。
@ENG:

@IDX:16443
@OFF:0x7850
@SPK:
@JPN:　足が見える。
@ENG:

@IDX:16444
@OFF:0x786c
@SPK:
@JPN:　誰かいる、確実に。
@ENG:

@IDX:16445
@OFF:0x788e
@SPK:
@JPN:　今日は悪戯ではなさそうだ。
@ENG:

@IDX:16446
@OFF:0x78dc
@SPK:
@JPN:　でも、一体誰だ。
@ENG:

@IDX:16447
@OFF:0x78fc
@SPK:
@JPN:　僕の部屋に来るような人なんて、いたか？
@ENG:

@IDX:16448
@OFF:0x7932
@SPK:
@JPN:　まあいいか。実際に聞いてみればいいんだし。
@ENG:

@IDX:16449
@OFF:0x79e7
@SPK:
@JPN:　…………。
@ENG:

@IDX:16450
@OFF:0x7a01
@SPK:
@JPN:　誰もいない。
@ENG:

@IDX:16451
@OFF:0x7a1d
@SPK:
@JPN:　おかしい。さっきは確かに誰かいるように見えた。　
@ENG:

@IDX:16452
@OFF:0x7ad8
@SPK:
@JPN:　もう一度寝そべってみる。
@ENG:

@IDX:16453
@OFF:0x7b00
@SPK:
@JPN:　隙間からは外の光が見えるだけ。
@ENG:

@IDX:16454
@OFF:0x7b2e
@SPK:
@JPN:　誰もいない。
@ENG:

@IDX:16455
@OFF:0x7b5a
@SPK:
@JPN:　なんだ？
@ENG:

@IDX:16456
@OFF:0x7b72
@SPK:
@JPN:　一体どういうことだ？
@ENG:

@IDX:16457
@OFF:0x7b96
@SPK:
@JPN:　悪質ないたずらなのか？
@ENG:

@IDX:16458
@OFF:0x7bbc
@SPK:
@JPN:　それともただ単に勘違いをしてるだけか？
@ENG:

@IDX:16459
@OFF:0x7bf2
@SPK:
@JPN:　首をひねりながら部屋の中へ向き直った。
@ENG:

@IDX:16460
@OFF:0x7cdf
@SPK:
@JPN:　！？
@ENG:

@IDX:16461
@OFF:0x7cf3
@SPK:
@JPN:　誰かが窓から覗いている？
@ENG:

@IDX:16462
@OFF:0x7d89
@SPK:
@JPN:　あれ？　消えた。
@ENG:

@IDX:16463
@OFF:0x7da9
@SPK:
@JPN:　僕が気づいたから逃げたのか？
@ENG:

@IDX:16464
@OFF:0x7dd5
@SPK:
@JPN:　……ったく、覗きなんてセコイやつだな。
@ENG:

@IDX:16465
@OFF:0x7e1d
@SPK:
@JPN:　……って、ちょっと待て。
@ENG:

@IDX:16466
@OFF:0x7e45
@SPK:
@JPN:　ここは２階だ……。
@ENG:

@IDX:16467
@OFF:0x7e85
@SPK:
@JPN:　窓際に駆け寄る。
@ENG:

@IDX:16468
@OFF:0x7ea5
@SPK:
@JPN:　急いで外を見る。
@ENG:

@IDX:16469
@OFF:0x7ec5
@SPK:
@JPN:　梯子のようなものは見当たらない。
@ENG:

@IDX:16470
@OFF:0x7f09
@SPK:
@JPN:　なんだ？　じゃあ、どうやって覗いてたんだ？
@ENG:

@IDX:16471
@OFF:0x7f55
@SPK:
@JPN:　…………。
@ENG:

@IDX:16472
@OFF:0x7f6f
@SPK:
@JPN:　そもそも僕の部屋を覗く理由が分からない。
@ENG:

@IDX:16473
@OFF:0x7fa7
@SPK:
@JPN:　誰が、何の目的で、どうやって覗いてたんだ？
@ENG:

@IDX:16474
@OFF:0x7ff1
@SPK:
@JPN:　本当に誰か覗いてたのか？
@ENG:

@IDX:16475
@OFF:0x8019
@SPK:
@JPN:　僕の見間違いじゃないのか？
@ENG:

@IDX:16476
@OFF:0x8043
@SPK:
@JPN:　認めたくはないが、勘違いがかなり多い。
@ENG:

@IDX:16477
@OFF:0x8079
@SPK:
@JPN:　カラスか何かが、ただとまってたんじゃないのか？　
@ENG:

@IDX:16478
@OFF:0x815e
@SPK:
@JPN:　そうだ。
@ENG:

@IDX:16479
@OFF:0x8176
@SPK:
@JPN:　きっとそうだ。
@ENG:

@IDX:16480
@OFF:0x8194
@SPK:
@JPN:　そうに違いない。
@ENG:

@IDX:16483
@OFF:0x829a
@SPK:[\protag]
@JPN:　うわっ！
@ENG:

@IDX:16484
@OFF:0x82d8
@SPK:
@JPN:　なんだ？　急にテレビが点いたぞ……。
@ENG:

@IDX:16485
@OFF:0x830c
@SPK:
@JPN:　リモコンでも踏んだのか？
@ENG:

@IDX:16486
@OFF:0x8344
@SPK:
@JPN:　そう思って足下を見たが、リモコンがあるわけでは　ない。
@ENG:

@IDX:16487
@OFF:0x838a
@SPK:
@JPN:　どこにあるのかは分からないけど、とりあえず足の　下にはない。
@ENG:

@IDX:16488
@OFF:0x83d6
@SPK:
@JPN:　じゃあ、何で？
@ENG:

@IDX:16489
@OFF:0x8406
@SPK:
@JPN:　……考えても無駄か。
@ENG:

@IDX:16490
@OFF:0x842a
@SPK:
@JPN:　どうせ誤作動でも起こしたんだろう。
@ENG:

@IDX:16491
@OFF:0x846e
@SPK:
@JPN:　スイッチを切ろうと手を伸ばす。
@ENG:

@IDX:16492
@OFF:0x849c
@SPK:
@JPN:　するとザーッという音に混じって何か声が聞こえて　きた。
@ENG:

@IDX:16493
@OFF:0x850f
@SPK:
@JPN:　　　　　　『私は洗わないの……？』
@ENG:

@IDX:16494
@OFF:0x856b
@SPK:
@JPN:　！？
@ENG:

@IDX:16495
@OFF:0x857f
@SPK:
@JPN:　い、いや。僕には関係ない。
@ENG:

@IDX:16496
@OFF:0x85a9
@SPK:
@JPN:　何かの番組のセリフだろう。
@ENG:

@IDX:16497
@OFF:0x85d3
@SPK:
@JPN:　落ち着け。
@ENG:

@IDX:16498
@OFF:0x85ed
@SPK:
@JPN:　あんな言葉、どこにでもある。
@ENG:

@IDX:16499
@OFF:0x862d
@SPK:
@JPN:　そーっと手を伸ばしてスイッチを切る。
@ENG:

@IDX:16500
@OFF:0x871c
@SPK:
@JPN:　テレビは消えた。
@ENG:

@IDX:16501
@OFF:0x873c
@SPK:
@JPN:　もう声も聞こえない。
@ENG:

@IDX:16502
@OFF:0x8760
@SPK:
@JPN:　いや、聞こえていたとしても関係ない。
@ENG:

@IDX:16503
@OFF:0x8794
@SPK:
@JPN:　あれはテレビの中の声だ。
@ENG:

@IDX:16504
@OFF:0x87bc
@SPK:
@JPN:　僕には関係ない。
@ENG:

@IDX:16507
@OFF:0x8836
@SPK:[\protag]
@JPN:　うわっ！
@ENG:

@IDX:16508
@OFF:0x8874
@SPK:
@JPN:　はあ、はあ、はあ……。脅かしやがって。
@ENG:

@IDX:16509
@OFF:0x88aa
@SPK:
@JPN:　こんな時に急に電話が鳴ったらビックリするだろ。　
@ENG:

@IDX:16510
@OFF:0x88fc
@SPK:
@JPN:　誰からだ？
@ENG:

@IDX:16511
@OFF:0x8916
@SPK:
@JPN:　真魚か？　もう仕事の時間か？
@ENG:

@IDX:16514
@OFF:0x8990
@SPK:[\protag]
@JPN:　もしもし？
@ENG:

@IDX:16515
@OFF:0x89d2
@SPK:
@JPN:　　　　　　　　　『…………』
@ENG:

@IDX:16518
@OFF:0x8a3a
@SPK:[\protag]
@JPN:　もしもし？
@ENG:

@IDX:16519
@OFF:0x8a7c
@SPK:
@JPN:　　　　　　　　　『…………』
@ENG:

@IDX:16522
@OFF:0x8ae4
@SPK:[\protag]
@JPN:　誰？　真魚か？
@ENG:

@IDX:16523
@OFF:0x8b2a
@SPK:
@JPN:　　　　　　　　　『…………』
@ENG:

@IDX:16526
@OFF:0x8b92
@SPK:[\protag]
@JPN:　副院長ですか？
@ENG:

@IDX:16527
@OFF:0x8bd8
@SPK:
@JPN:　　　　　　　　　『…………』
@ENG:

@IDX:16530
@OFF:0x8c4c
@SPK:[\protag]
@JPN:　もしかして……御堂……さん？
@ENG:

@IDX:16531
@OFF:0x8cb3
@SPK:
@JPN:　　　　　　　『…………私を……』
@ENG:

@IDX:16532
@OFF:0x8d0a
@SPK:
@JPN:　　　　　　　『……私を洗うの？』
@ENG:

@IDX:16533
@OFF:0x8d66
@SPK:
@JPN:　なんだ。
@ENG:

@IDX:16534
@OFF:0x8d7e
@SPK:
@JPN:　なんなんだ！？
@ENG:

@IDX:16535
@OFF:0x8d9c
@SPK:
@JPN:　一体なんなんだ！？
@ENG:

@IDX:16536
@OFF:0x8dca
@SPK:
@JPN:　御堂さんなのか？
@ENG:

@IDX:16537
@OFF:0x8dea
@SPK:
@JPN:　病院を休んでまで僕に嫌がらせをしてるのか？
@ENG:

@IDX:16538
@OFF:0x8e24
@SPK:
@JPN:　もしかして、さっきのノックも、僕の部屋を覗いて　いたのも御堂さんの仕業か？
@ENG:

@IDX:16539
@OFF:0x8e7e
@SPK:
@JPN:　ちくしょう。馬鹿にしやがって。
@ENG:

@IDX:16540
@OFF:0x8eac
@SPK:
@JPN:　この程度で僕が出て行くとでも思ってるのか？
@ENG:

@IDX:16541
@OFF:0x8ee6
@SPK:
@JPN:　なめるなよ。
@ENG:

@IDX:16542
@OFF:0x8f02
@SPK:
@JPN:　こっちは毎日の仕事で度胸を鍛えてるんだ。
@ENG:

@IDX:16543
@OFF:0x8f3a
@SPK:
@JPN:　これくらいの嫌がらせでビビッて逃げ出すものか！　
@ENG:

@IDX:16544
@OFF:0x8faa
@SPK:
@JPN:　またか？　また悪戯か？
@ENG:

@IDX:16545
@OFF:0x8fd0
@SPK:
@JPN:　それとも、真魚からの仕事の電話か？
@ENG:

@IDX:16548
@OFF:0x9050
@SPK:[\protag]
@JPN:　…………。
@ENG:

@IDX:16550
@OFF:0x90a1
@SPK:［？？？］
@JPN:　…………。
@ENG:

@IDX:16551
@OFF:0x90e1
@SPK:
@JPN:　何も言ってこない。
@ENG:

@IDX:16552
@OFF:0x9103
@SPK:
@JPN:　真魚なら元気のいい声がするはずだ。
@ENG:

@IDX:16553
@OFF:0x9135
@SPK:
@JPN:　今度はこっちが驚かせる番だ。
@ENG:

@IDX:16556
@OFF:0x919d
@SPK:[\protag]
@JPN:　わっ！！！
@ENG:

@IDX:16558
@OFF:0x91ee
@SPK:［女の声］
@JPN:　きゃっ！！
@ENG:

@IDX:16559
@OFF:0x922e
@SPK:
@JPN:　あれ？
@ENG:

@IDX:16560
@OFF:0x9244
@SPK:
@JPN:　さっきの声と違う？
@ENG:

@IDX:16561
@OFF:0x9266
@SPK:
@JPN:　この声は御堂さんと言うよりも……。
@ENG:

@IDX:16563
@OFF:0x9339
@SPK:［真魚］
@JPN:　もー、急に大声出さないでよ。
@ENG:

@IDX:16566
@OFF:0x938d
@SPK:[\protag]
@JPN:　なんだ。やっぱり真魚か。
@ENG:

@IDX:16568
@OFF:0x93ea
@SPK:［真魚］
@JPN:　『なんだ』じゃないわよ！　人のこと驚かせておいて、それはないんじゃない？
@ENG:

@IDX:16571
@OFF:0x946a
@SPK:[\protag]
@JPN:　わるいわるい、ちょっと人違いしちゃってさ。
@ENG:

@IDX:16573
@OFF:0x94d9
@SPK:［真魚］
@JPN:　ほえ？　人違い？　どういうこと？
@ENG:

@IDX:16576
@OFF:0x9531
@SPK:[\protag]
@JPN:　いたずら電話がかかって来るんだよ最近。
@ENG:

@IDX:16578
@OFF:0x959c
@SPK:［真魚］
@JPN:　ふーん。それで撃退しようと思ったと、そういうこと？
@ENG:

@IDX:16581
@OFF:0x9606
@SPK:[\protag]
@JPN:　まあ、そんなところかな。
@ENG:

@IDX:16583
@OFF:0x9663
@SPK:［真魚］
@JPN:　分かった。そういうことなら仕方ないかもしれないような気もしないでもない。
@ENG:

@IDX:16586
@OFF:0x96e3
@SPK:[\protag]
@JPN:　は？　なに言ってんだお前？
@ENG:

@IDX:16588
@OFF:0x9742
@SPK:［真魚］
@JPN:　別にどうでもいいってこと。
@ENG:

@IDX:16591
@OFF:0x9794
@SPK:[\protag]
@JPN:　なんか、投げやりだな。
@ENG:

@IDX:16593
@OFF:0x97ef
@SPK:［真魚］
@JPN:　いーでしょ、別に。
@ENG:

@IDX:16596
@OFF:0x9839
@SPK:[\protag]
@JPN:　ま、いいけどな。……で、なんの用だ。
@ENG:

@IDX:16598
@OFF:0x98a2
@SPK:［真魚］
@JPN:　あー、そうそう。あと一時間ぐらいで準備できるって。
@ENG:

@IDX:16601
@OFF:0x990c
@SPK:[\protag]
@JPN:　分かった。じゃ、一時間後に更衣室でな。
@ENG:

@IDX:16603
@OFF:0x9977
@SPK:［真魚］
@JPN:　うん。それじゃね。
@ENG:

@IDX:16604
@OFF:0x99d1
@SPK:
@JPN:　あと一時間か。
@ENG:

@IDX:16605
@OFF:0x99ef
@SPK:
@JPN:　早めに行って食堂で昼食にするか。
@ENG:

@IDX:16606
@OFF:0x9a51
@SPK:
@JPN:　なんだ。
@ENG:

@IDX:16607
@OFF:0x9a69
@SPK:
@JPN:　真魚のやつ何か言い忘れたのか？
@ENG:

@IDX:16610
@OFF:0x9ae5
@SPK:[\protag]
@JPN:　もしもし？
@ENG:

@IDX:16611
@OFF:0x9bcb
@SPK:
@JPN:　　　　　　『私は……洗わないの？』
@ENG:

@IDX:16612
@OFF:0x9c21
@SPK:
@JPN:　……真魚じゃなかった。
@ENG:

@IDX:16613
@OFF:0x9c47
@SPK:
@JPN:　また御堂さんの嫌がらせだった。
@ENG:

@IDX:16616
@OFF:0x9cb1
@SPK:[\protag]
@JPN:　ちょっと、御堂さんですよね。いい加減にしてくれませんか？そんな嫌がらせで僕が逃げ出すと思ったら大間違いですよ？
@ENG:

@IDX:16617
@OFF:0x9d6a
@SPK:
@JPN:　　　　　　　『私は洗わないの？』
@ENG:

@IDX:16620
@OFF:0x9de8
@SPK:[\protag]
@JPN:　いい加減にしてください！　ノックしたり、電話したり……。警察に電話してもいいんですよ！？
@ENG:

@IDX:16621
@OFF:0x9e78
@SPK:
@JPN:　　　　　　　　　『…………』
@ENG:

@IDX:16624
@OFF:0x9ee0
@SPK:[\protag]
@JPN:　もうこんなことはやめてください。いいですね！
@ENG:

@IDX:16625
@OFF:0x9fe1
@SPK:
@JPN:　まったく、子供みたいな悪戯して……。
@ENG:

@IDX:16626
@OFF:0xa015
@SPK:
@JPN:　僕が自分の言いなりにならないからって……。
@ENG:

@IDX:16627
@OFF:0xa117
@SPK:
@JPN:　またテレビ？
@ENG:

@IDX:16628
@OFF:0xa133
@SPK:
@JPN:　一体何の電波を受信して勝手についてるんだ？
@ENG:

@IDX:16629
@OFF:0xa16d
@SPK:
@JPN:　いい加減にして欲しいよな……。
@ENG:

@IDX:16630
@OFF:0xa1c8
@SPK:
@JPN:　　　　　『……洗ってくれないの？』
@ENG:

@IDX:16631
@OFF:0xa2d5
@SPK:
@JPN:　同じ声だった。
@ENG:

@IDX:16632
@OFF:0xa2f3
@SPK:
@JPN:　電話で聞いたのと同じ声だった。
@ENG:

@IDX:16633
@OFF:0xa321
@SPK:
@JPN:　あれは何かの番組の声じゃなかったのか？
@ENG:

@IDX:16634
@OFF:0xa367
@SPK:
@JPN:　テレビを操作する方法がないわけではない。
@ENG:

@IDX:16635
@OFF:0xa39f
@SPK:
@JPN:　複数のメーカーのテレビに対応するリモコンなど、　今では普通に売られている。
@ENG:

@IDX:16636
@OFF:0xa3f9
@SPK:
@JPN:　音声や画像を飛ばすのも、その種の知識がある人間　なら、さほど難しくもないだろう。
@ENG:

@IDX:16637
@OFF:0xa46b
@SPK:
@JPN:　だけど御堂さんがそんなことできると思うか？
@ENG:

@IDX:16638
@OFF:0xa4a5
@SPK:
@JPN:　……いや、そんな知識がありそうには見えない。
@ENG:

@IDX:16639
@OFF:0xa4e1
@SPK:
@JPN:　じゃあ一体あれは……。
@ENG:

@IDX:16641
@OFF:0xa552
@SPK:［女の声］
@JPN:　あら、食事が進んでないのね。
@ENG:

@IDX:16645
@OFF:0xa62a
@SPK:[\protag]
@JPN:　副院長……。
@ENG:

@IDX:16647
@OFF:0xa67b
@SPK:［千草］
@JPN:　どうかした？　食欲がないの？
@ENG:

@IDX:16650
@OFF:0xa6cf
@SPK:[\protag]
@JPN:　いえ、そういうわけでもないです。
@ENG:

@IDX:16652
@OFF:0xa734
@SPK:［千草］
@JPN:　もしかして、薬、強すぎたのかしら？
@ENG:

@IDX:16655
@OFF:0xa78e
@SPK:[\protag]
@JPN:　い、いえ。副院長のせいじゃありません。ちょっと気になることがあって……。
@ENG:

@IDX:16657
@OFF:0xa81b
@SPK:［千草］
@JPN:　気になること？　私でよければ相談に乗るけど？
@ENG:

@IDX:16660
@OFF:0xa87f
@SPK:[\protag]
@JPN:　じゃ、あの、ちょっと聞いてくれますか？
@ENG:

@IDX:16662
@OFF:0xa960
@SPK:［千草］
@JPN:　いいわよ。話してごらんなさい。
@ENG:

@IDX:16665
@OFF:0xa9b6
@SPK:[\protag]
@JPN:　声が聞こえるんです。テレビから……。
@ENG:

@IDX:16667
@OFF:0xaa99
@SPK:［千草］
@JPN:　は？　テレビから声が聞こえるなんて当たり前じゃないの？　どうしてそれが気になるの？
@ENG:

@IDX:16670
@OFF:0xab23
@SPK:[\protag]
@JPN:　そ、そうじゃなくて……やっぱりいいです。すいません、変なこと聞いちゃって。忘れてください。
@ENG:

@IDX:16672
@OFF:0xac38
@SPK:［千草］
@JPN:　……あ、ごめんなさい。ちょっと軽率だったわね。今度は最後まで聞くから……ほら、話してみなさい。
@ENG:

@IDX:16675
@OFF:0xacce
@SPK:[\protag]
@JPN:　……笑いませんか？
@ENG:

@IDX:16677
@OFF:0xad25
@SPK:［千草］
@JPN:　私はあなたの主治医みたいなものじゃない。私を信用しなくて誰を信用するって言うの？
@ENG:

@IDX:16680
@OFF:0xadad
@SPK:[\protag]
@JPN:　そう……ですね。
@ENG:

@IDX:16682
@OFF:0xae78
@SPK:［千草］
@JPN:　そうよ。さあ、話してみなさい。
@ENG:

@IDX:16685
@OFF:0xaece
@SPK:[\protag]
@JPN:　あの……僕はテレビをつけてないんです。それなのにスイッチが勝手に入って……。
@ENG:

@IDX:16687
@OFF:0xaf5f
@SPK:［千草］
@JPN:　それで？
@ENG:

@IDX:16690
@OFF:0xaf9f
@SPK:[\protag]
@JPN:　画面は砂嵐のままで、ザーって雑音がしてるんです。それで、そのノイズに混じって声が聞こえてきて……。
@ENG:

@IDX:16692
@OFF:0xb0bc
@SPK:［千草］
@JPN:　…………。
@ENG:

@IDX:16695
@OFF:0xb0fe
@SPK:[\protag]
@JPN:　最初は番組か何かの声だと思ったんです。でも、違うんです。番組の声じゃないんです。
@ENG:

@IDX:16697
@OFF:0xb193
@SPK:［千草］
@JPN:　番組じゃない？　どうしてそう言えるの？
@ENG:

@IDX:16700
@OFF:0xb1f1
@SPK:[\protag]
@JPN:　だって……その声は僕に話しかけてるんです。僕に聞いてるんです、洗わないのかって。
@ENG:

@IDX:16702
@OFF:0xb286
@SPK:［千草］
@JPN:　…………。
@ENG:

@IDX:16705
@OFF:0xb2c8
@SPK:[\protag]
@JPN:　それに……あれは、御堂さんの声です。……たぶん。
@ENG:

@IDX:16707
@OFF:0xb3b7
@SPK:［千草］
@JPN:　え？　御堂……さん？
@ENG:

@IDX:16710
@OFF:0xb403
@SPK:[\protag]
@JPN:　どうして僕にあんなことするんでしょうか？
@ENG:

@IDX:16712
@OFF:0xb470
@SPK:［千草］
@JPN:　でも、あなた……御堂さんは……。
@ENG:

@IDX:16715
@OFF:0xb4c8
@SPK:[\protag]
@JPN:　僕が何したって言うんですか？　確かにかなり乱暴なセックスをしたかもしれません。でも、あれは御堂さんから誘ってきたんです。別に僕が無理やり犯したんじゃない。
@ENG:

@IDX:16717
@OFF:0xb621
@SPK:［千草］
@JPN:　……あなた、もしかして……。
@ENG:

@IDX:16720
@OFF:0xb675
@SPK:[\protag]
@JPN:　文句があるなら直接言えばいいんだ。なのに、嫌がらせなんかしやがって……。僕がパニックになってるのを、きっとどこかで笑ってるんだ……そうに決まってる。
@ENG:

@IDX:16722
@OFF:0xb74e
@SPK:［千草］
@JPN:　…………。
@ENG:

@IDX:16725
@OFF:0xb790
@SPK:[\protag]
@JPN:　副院長。
@ENG:

@IDX:16727
@OFF:0xb857
@SPK:［千草］
@JPN:　え？　な、なに？
@ENG:

@IDX:16730
@OFF:0xb89f
@SPK:[\protag]
@JPN:　御堂さんって、電子機器とかに詳しい方ですか？
@ENG:

@IDX:16732
@OFF:0xb910
@SPK:［千草］
@JPN:　私の知る限りでは、そういうことに疎かったと思うけど……。
@ENG:

@IDX:16735
@OFF:0xb980
@SPK:[\protag]
@JPN:　ってことは、僕に嫌がらせするために知識を身につけたのか？……ずいぶん面倒なことするじゃないか。そんなに僕を病院から出て行かせたいのか？
@ENG:

@IDX:16737
@OFF:0xba4b
@SPK:［千草］
@JPN:　…………。
@ENG:

@IDX:16740
@OFF:0xba8d
@SPK:[\protag]
@JPN:　わざわざ知識を身につけて、わざわざ僕の部屋に忍び込んで、わざわざテレビに細工をして、わざわざ……。
@ENG:

@IDX:16742
@OFF:0xbb34
@SPK:［千草］
@JPN:　……ねえ、あなた。
@ENG:

@IDX:16745
@OFF:0xbb7e
@SPK:[\protag]
@JPN:　……はい？
@ENG:

@IDX:16747
@OFF:0xbbcd
@SPK:［千草］
@JPN:　本当に御堂さんがそんなことすると思ってるの？
@ENG:

@IDX:16750
@OFF:0xbc31
@SPK:[\protag]
@JPN:　……でも、それ以外考えられないじゃないですか。
@ENG:

@IDX:16752
@OFF:0xbca4
@SPK:［千草］
@JPN:　……落ち着いて冷静に考えてみて。そんなことして御堂さんに何のメリットがあるの？　あなたを出て行かせるためだけなら、もっと簡単な方法を選ぶんじゃないの？
@ENG:

@IDX:16755
@OFF:0xbd72
@SPK:[\protag]
@JPN:　じゃあ、あれは御堂さんの仕業じゃないって言うんですか？　テレビも、ノックも、電話も……。
@ENG:

@IDX:16757
@OFF:0xbe0f
@SPK:［千草］
@JPN:　ノック？　電話？　テレビだけじゃないの？
@ENG:

@IDX:16760
@OFF:0xbe6f
@SPK:[\protag]
@JPN:　そうですよ。扉をノックして逃げたり、いたずら電話をかけてきたり……そうだ！　朝のもきっと嫌がらせだったんだ。
@ENG:

@IDX:16763
@OFF:0xbf13
@SPK:[\protag]
@JPN:　仕事場の明かりを暗くしたり、内線電話に割り込んできたり、ホルマリンプールの中に隠れてたり……。
@ENG:

@IDX:16766
@OFF:0xbfa9
@SPK:[\protag]
@JPN:　……もしかして他のも……？　味噌汁の具が少なかったのも、サンマの身が少なかったのも、トイレに紙がなかったのも、ガムを踏んづけたのも、足の小指をぶつけたのも……。
@ENG:

@IDX:16769
@OFF:0xc081
@SPK:[\protag]
@JPN:　そうだ、きっとそうだ。そうに違いない……あの女が……。
@ENG:

@IDX:16771
@OFF:0xc172
@SPK:［千草］
@JPN:　……あなた、疲れてるんじゃない？
@ENG:

@IDX:16774
@OFF:0xc1ca
@SPK:[\protag]
@JPN:　……副院長？
@ENG:

@IDX:16776
@OFF:0xc21b
@SPK:［千草］
@JPN:　疲れのせいで神経過敏になってるんじゃない？　多少のことを気にしすぎてノイローゼ気味になっちゃってるみたいよ。
@ENG:

@IDX:16779
@OFF:0xc2bf
@SPK:[\protag]
@JPN:　ノイローゼ……ですか？
@ENG:

@IDX:16781
@OFF:0xc31a
@SPK:［千草］
@JPN:　そうよ。多分あなたの言っていることのほとんどは、ストレス性の幻覚なんじゃないかしら。
@ENG:

@IDX:16783
@OFF:0xc3b3
@SPK:［千草］
@JPN:　慣れない仕事のせいで強いストレスを感じて、そのせいで神経過敏になって、それがさらにストレスを募らせて……。まさにストレスの悪循環だわ。
@ENG:

@IDX:16786
@OFF:0xc471
@SPK:[\protag]
@JPN:　ストレス性の幻覚……ですか。
@ENG:

@IDX:16788
@OFF:0xc4d2
@SPK:［千草］
@JPN:　そう。割と多いのよ、ストレス性の幻覚って。
@ENG:

@IDX:16790
@OFF:0xc541
@SPK:［千草］
@JPN:　メカニズムはあんまりはっきりしてないんだけど、脳の前頭葉の活動が極度に低下して、海馬に混乱が生じるらしいの。
@ENG:

@IDX:16792
@OFF:0xc5f2
@SPK:［千草］
@JPN:　そのせいで、側頭連合野の働きに異常が生じて実際の知覚情報に混乱が起きる。まあ、簡単に言うとそんな感じね。
@ENG:

@IDX:16795
@OFF:0xc692
@SPK:[\protag]
@JPN:　そう……なんですか？
@ENG:

@IDX:16797
@OFF:0xc6eb
@SPK:［千草］
@JPN:　ええ、そうよ。だから今日は仕事が終わったら、早く帰って寝ちゃいなさい。ぐっすり眠って疲れを取るの。もし眠れなければあの薬を飲んでもいいし。
@ENG:

@IDX:16800
@OFF:0xc7ad
@SPK:[\protag]
@JPN:　…………。
@ENG:

@IDX:16802
@OFF:0xc872
@SPK:［千草］
@JPN:　あら？　合点がいかないって顔してるわね。私の言うことが信用できないのかしら？
@ENG:

@IDX:16805
@OFF:0xc8f6
@SPK:[\protag]
@JPN:　い、いえ、そんな……ただ、大脳生理学には疎いもんで……。
@ENG:

@IDX:16807
@OFF:0xc973
@SPK:［千草］
@JPN:　ウフフ……頑張って勉強するのね。でも、あんまり深刻に考えちゃダメよ？　それもストレスになっちゃうから。
@ENG:

@IDX:16810
@OFF:0xca11
@SPK:[\protag]
@JPN:　はい、分かりました。気にしないことにします。
@ENG:

@IDX:16812
@OFF:0xcaf8
@SPK:［千草］
@JPN:　そうね……。じゃあ、私はそろそろ行くわ。あなたも仕事の時間なんじゃない？
@ENG:

@IDX:16815
@OFF:0xcb78
@SPK:[\protag]
@JPN:　うわっ！　本当だ。いつの間にかこんな時間になってる！
@ENG:

@IDX:16817
@OFF:0xcbf1
@SPK:［千草］
@JPN:　急いだ方がいいんじゃない？　きっと佐伯さん待ってるわよ。
@ENG:

@IDX:16820
@OFF:0xcc61
@SPK:[\protag]
@JPN:　そうですよね。それじゃ、僕行きます。
@ENG:

@IDX:16822
@OFF:0xccca
@SPK:［千草］
@JPN:　またね。
@ENG:

@IDX:16823
@OFF:0xcd1c
@SPK:
@JPN:　食べかけの食事を片づける。
@ENG:

@IDX:16824
@OFF:0xcd46
@SPK:
@JPN:　まずい、もう予定の時間を過ぎてる。
@ENG:

@IDX:16825
@OFF:0xcd78
@SPK:
@JPN:　真魚のやつ、怒ってるだろうな。
@ENG:

@IDX:16827
@OFF:0xcf0a
@SPK:［真魚］
@JPN:　おそーい。
@ENG:

@IDX:16830
@OFF:0xcf4c
@SPK:[\protag]
@JPN:　ごめんごめん。
@ENG:

@IDX:16832
@OFF:0xcf9f
@SPK:［真魚］
@JPN:　もー、どうしたのか心配しちゃったでしょ。
@ENG:

@IDX:16835
@OFF:0xcfff
@SPK:[\protag]
@JPN:　いやあ、ちょっと食堂で副院長と話し込んじゃって。
@ENG:

@IDX:16837
@OFF:0xd0ea
@SPK:［真魚］
@JPN:　私だって仕事があるんだから遅れないでよね。
@ENG:

@IDX:16840
@OFF:0xd14c
@SPK:[\protag]
@JPN:　本当にすまん。もう遅れないから。
@ENG:

@IDX:16842
@OFF:0xd1b1
@SPK:［真魚］
@JPN:　本当でしょうね。
@ENG:

@IDX:16845
@OFF:0xd1f9
@SPK:[\protag]
@JPN:　本当だって。約束する。
@ENG:

@IDX:16847
@OFF:0xd2ca
@SPK:［真魚］
@JPN:　そこまで言うなら信用したげる。じゃ、ミーティングするよ。
@ENG:

@IDX:16850
@OFF:0xd33a
@SPK:[\protag]
@JPN:　おう。
@ENG:

@IDX:16852
@OFF:0xd385
@SPK:［真魚］
@JPN:　男性が１体、傷はなし、以上。
@ENG:

@IDX:16853
@OFF:0xd435
@SPK:
@JPN:はあ……これだけ言うために私待たされたんだよね。なんだか損した気分。
@ENG:

@IDX:16856
@OFF:0xd4af
@SPK:[\protag]
@JPN:　だから、悪かったって言ってるだろ。
@ENG:

@IDX:16858
@OFF:0xd58c
@SPK:［真魚］
@JPN:　まあ、仕事だから仕方ないか。それじゃ、またあとでね。
@ENG:

@IDX:16859
@OFF:0xd616
@SPK:
@JPN:　また真魚に迷惑をかけてしまった。
@ENG:

@IDX:16860
@OFF:0xd646
@SPK:
@JPN:　そう言えば結局朝のことも謝ってない。
@ENG:

@IDX:16861
@OFF:0xd67a
@SPK:
@JPN:　そのうちなんか埋め合わせをしないとダメかもな。　
@ENG:

@IDX:16862
@OFF:0xd6ca
@SPK:
@JPN:　そんなことを考えながら、青い薬を服用する。
@ENG:

@IDX:16863
@OFF:0xd704
@SPK:
@JPN:　萎えかけていた気持ちに、強制的に喝が入る。
@ENG:

@IDX:16864
@OFF:0xd73e
@SPK:
@JPN:　よし、これで働ける。
@ENG:

@IDX:16865
@OFF:0xd762
@SPK:
@JPN:　今日はあと２回作業がある。気合を入れていかない　とへばってしまう。
@ENG:

@IDX:16866
@OFF:0xd7c6
@SPK:
@JPN:　真魚のことを考えるのは後でいい。
@ENG:

@IDX:16867
@OFF:0xd7f6
@SPK:
@JPN:　仕事をきっちりとこなすのは、真魚のためにもなる　はずだ。
@ENG:

@IDX:16868
@OFF:0xd911
@SPK:
@JPN:　また男性の遺体だ。
@ENG:

@IDX:16869
@OFF:0xd933
@SPK:
@JPN:　これで、昨日の朝から４連続。
@ENG:

@IDX:16870
@OFF:0xd95f
@SPK:
@JPN:　……別にどうというわけではないが。
@ENG:

@IDX:16871
@OFF:0xd9a1
@SPK:
@JPN:　引き上げて、洗って、裏返して、洗って。
@ENG:

@IDX:16872
@OFF:0xd9d7
@SPK:
@JPN:　もう意識しなくても作業は進められる。
@ENG:

@IDX:16873
@OFF:0xda0b
@SPK:
@JPN:　慣れって怖いよな。
@ENG:

@IDX:16874
@OFF:0xda2d
@SPK:
@JPN:　そう独りごちる余裕すらある。
@ENG:

@IDX:16875
@OFF:0xda6b
@SPK:
@JPN:　特にアクシデントもなく作業終了。
@ENG:

@IDX:16876
@OFF:0xda9b
@SPK:
@JPN:　なんとなく満足感を感じて、遺体を見下ろす。
@ENG:

@IDX:16877
@OFF:0xdb63
@SPK:
@JPN:　ふむ……。
@ENG:

@IDX:16878
@OFF:0xdb7d
@SPK:
@JPN:　我ながらよく洗えている……。
@ENG:

@IDX:16879
@OFF:0xdbd7
@SPK:
@JPN:　！？
@ENG:

@IDX:16880
@OFF:0xdbeb
@SPK:
@JPN:　突然の水滴の音に、背筋がゾッとする。
@ENG:

@IDX:16881
@OFF:0xdc1f
@SPK:
@JPN:　朝の作業の時の出来事が脳裏をよぎる。
@ENG:

@IDX:16882
@OFF:0xdc69
@SPK:
@JPN:　あれは錯覚だ。
@ENG:

@IDX:16883
@OFF:0xdc87
@SPK:
@JPN:　何かの錯覚だ。
@ENG:

@IDX:16884
@OFF:0xdca5
@SPK:
@JPN:　さっき副院長も言っていたじゃないか……気にする　ことはないって、幻覚だって……。
@ENG:

@IDX:16885
@OFF:0xdd05
@SPK:
@JPN:　なにを見間違えたのかは分からないけど、とにかく　気のせいだ。
@ENG:

@IDX:16886
@OFF:0xdd63
@SPK:
@JPN:　必死に自分に言い聞かせる。
@ENG:

@IDX:16887
@OFF:0xdd8d
@SPK:
@JPN:　何もない、何もない、とブツブツ言いながら後ろを　振り向いてみる。
@ENG:

@IDX:16888
@OFF:0xde88
@SPK:
@JPN:　静寂を湛えたホルマリンプール。
@ENG:

@IDX:16889
@OFF:0xdeb6
@SPK:
@JPN:　何の変哲もない。
@ENG:

@IDX:16890
@OFF:0xdeee
@SPK:
@JPN:　そうだ。
@ENG:

@IDX:16891
@OFF:0xdf06
@SPK:
@JPN:　なにもない。
@ENG:

@IDX:16892
@OFF:0xdf22
@SPK:
@JPN:　おかしなことなんか何もないんだ。
@ENG:

@IDX:16893
@OFF:0xdf66
@SPK:
@JPN:　ほっと胸を撫で下ろして、視線を遺体に戻す。
@ENG:

@IDX:16896
@OFF:0xe052
@SPK:[\protag]
@JPN:　ひっ！
@ENG:

@IDX:16897
@OFF:0xe09c
@SPK:
@JPN:　思わず息を呑んだ。
@ENG:

@IDX:16898
@OFF:0xe0be
@SPK:
@JPN:　遺体と目が合ってしまった。
@ENG:

@IDX:16899
@OFF:0xe0f8
@SPK:
@JPN:　………………。
@ENG:

@IDX:16900
@OFF:0xe116
@SPK:
@JPN:　ちょっと待て。
@ENG:

@IDX:16901
@OFF:0xe134
@SPK:
@JPN:　この遺体の目って開いてたか？
@ENG:

@IDX:16902
@OFF:0xe160
@SPK:
@JPN:　いや、開いてなかったはずだ。
@ENG:

@IDX:16903
@OFF:0xe19c
@SPK:
@JPN:　だとすると、どういうことだ？　遺体の目って急に　開いたりするものなのか？
@ENG:

@IDX:16904
@OFF:0xe1f4
@SPK:
@JPN:　ミルク飲み人形の類で、上下逆さまにしたりすると　目を開いたり閉じたりするやつがあるけど、それと　同じような原理なのか？
@ENG:

@IDX:16905
@OFF:0xe28c
@SPK:
@JPN:　まさか。そんなわけはない。
@ENG:

@IDX:16906
@OFF:0xe2b6
@SPK:
@JPN:　それに第一、僕は遺体を逆さまにしたりなんてして　いない。
@ENG:

@IDX:16907
@OFF:0xe30e
@SPK:
@JPN:　まあいいか。
@ENG:

@IDX:16908
@OFF:0xe32a
@SPK:
@JPN:　たぶん何かしらで開くことがあるんだろう。
@ENG:

@IDX:16909
@OFF:0xe362
@SPK:
@JPN:　……そう、気にしちゃいけないんだ。
@ENG:

@IDX:16910
@OFF:0xe394
@SPK:
@JPN:　副院長も言ったではないか、深刻に考えるなって。　
@ENG:

@IDX:16911
@OFF:0xe3e6
@SPK:
@JPN:　とりあえず目は閉じておいた方がいいか。
@ENG:

@IDX:16912
@OFF:0xe41c
@SPK:
@JPN:　もともと開いていなかったのだから。
@ENG:

@IDX:16913
@OFF:0xe468
@SPK:
@JPN:　遺体の目を閉じようと手を伸ばす。
@ENG:

@IDX:16914
@OFF:0xe4c9
@SPK:
@JPN:　　　　『俺の目も塞ぐつもりか……？』
@ENG:

@IDX:16917
@OFF:0xe54b
@SPK:[\protag]
@JPN:　えっ？
@ENG:

@IDX:16918
@OFF:0xe58f
@SPK:
@JPN:　男の声がした。
@ENG:

@IDX:16919
@OFF:0xe5ad
@SPK:
@JPN:　きょろきょろと周りを見る。
@ENG:

@IDX:16920
@OFF:0xe5d7
@SPK:
@JPN:　……鏑木さんが来ているわけでもない。
@ENG:

@IDX:16921
@OFF:0xe6b6
@SPK:
@JPN:　もしかしたらと思い、インターフォンに耳をつけて　みる。
@ENG:

@IDX:16922
@OFF:0xe718
@SPK:
@JPN:　別にどこかに通じているわけではないようだ。
@ENG:

@IDX:16923
@OFF:0xe752
@SPK:
@JPN:　また空耳なのか。
@ENG:

@IDX:16924
@OFF:0xe772
@SPK:
@JPN:　副院長の言っていたように、ストレス性の幻聴なの　だろうか。
@ENG:

@IDX:16925
@OFF:0xe7d0
@SPK:
@JPN:　もういい。
@ENG:

@IDX:16926
@OFF:0xe7ea
@SPK:
@JPN:　さっさと確認してもらおう。
@ENG:

@IDX:16927
@OFF:0xe814
@SPK:
@JPN:　目が開いた理由はその時に聞けばいい。
@ENG:

@IDX:16928
@OFF:0xe848
@SPK:
@JPN:　内線番号を押して鏑木さんを呼び出す。
@ENG:

@IDX:16929
@OFF:0xe87c
@SPK:
@JPN:　呼び出し音が途切れたその時……。
@ENG:

@IDX:16930
@OFF:0xe8d3
@SPK:
@JPN:　　　『俺の目は開いたままでいいのか？』
@ENG:

@IDX:16931
@OFF:0xe92b
@SPK:
@JPN:　まさかこの声は……。
@ENG:

@IDX:16932
@OFF:0xea77
@SPK:
@JPN:　　　　　　　　　！！！！！！
@ENG:

@IDX:16933
@OFF:0xeabb
@SPK:
@JPN:　うそだ。
@ENG:

@IDX:16934
@OFF:0xead3
@SPK:
@JPN:　そんなことあるわけない。
@ENG:

@IDX:16935
@OFF:0xeafb
@SPK:
@JPN:　遺体が、遺体が笑うなんて……。
@ENG:

@IDX:16936
@OFF:0xeb29
@SPK:
@JPN:　そんなことあるわけない！！
@ENG:

@IDX:16937
@OFF:0xeb65
@SPK:
@JPN:　ストレスだ。
@ENG:

@IDX:16938
@OFF:0xeb81
@SPK:
@JPN:　ストレスのせいで幻覚を見てるんだ。
@ENG:

@IDX:16939
@OFF:0xebb3
@SPK:
@JPN:　そうだ。そうに決まってる。
@ENG:

@IDX:16940
@OFF:0xebef
@SPK:
@JPN:　薬を飲めば収まる。
@ENG:

@IDX:16941
@OFF:0xec11
@SPK:
@JPN:　薬を飲めば大丈夫。
@ENG:

@IDX:16942
@OFF:0xec33
@SPK:
@JPN:　薬を飲めば……。
@ENG:

@IDX:16943
@OFF:0xed4b
@SPK:
@JPN:　更衣室に駆け込んで薬袋を取り出す。
@ENG:

@IDX:16944
@OFF:0xed8f
@SPK:
@JPN:　青い薬を出して、飲み込む。
@ENG:

@IDX:16945
@OFF:0xedb9
@SPK:
@JPN:　洗面台の蛇口に直接口をつけて水を飲む。
@ENG:

@IDX:16946
@OFF:0xee01
@SPK:
@JPN:　これで大丈夫。
@ENG:

@IDX:16947
@OFF:0xee1f
@SPK:
@JPN:　もうこれで大丈夫。
@ENG:

@IDX:16948
@OFF:0xee53
@SPK:
@JPN:　鏡に自分の顔が映ってる。
@ENG:

@IDX:16949
@OFF:0xee7b
@SPK:
@JPN:　かなり酷い顔だ。
@ENG:

@IDX:16950
@OFF:0xee9b
@SPK:
@JPN:　知らないうちにずいぶん疲れてるみたいだな。
@ENG:

@IDX:16951
@OFF:0xeee5
@SPK:
@JPN:　お腹の中で薬が溶けていく感じがする。
@ENG:

@IDX:16952
@OFF:0xef19
@SPK:
@JPN:　ジワジワと腹部から全身に薬が広がっていく。
@ENG:

@IDX:16953
@OFF:0xef53
@SPK:
@JPN:　その感じが頭まで到達した時、突然世界がグニャリ　と捻じ曲がってきた。
@ENG:

@IDX:16954
@OFF:0xf02e
@SPK:
@JPN:　ゆらゆらと揺れる世界。
@ENG:

@IDX:16955
@OFF:0xf054
@SPK:
@JPN:　ゆらゆらと揺れる自分。
@ENG:

@IDX:16956
@OFF:0xf101
@SPK:
@JPN:　なんだか気分がよくなってきた。
@ENG:

@IDX:16957
@OFF:0xf12f
@SPK:
@JPN:　もう大丈夫だ。
@ENG:

@IDX:16958
@OFF:0xf14d
@SPK:
@JPN:　これならもう大丈夫だ。
@ENG:

@IDX:16960
@OFF:0xf1d4
@SPK:［男の声］
@JPN:　おい！　いるか！？
@ENG:

@IDX:16961
@OFF:0xf272
@SPK:
@JPN:　その怒鳴り声で、歪んだ視界が元に戻る。
@ENG:

@IDX:16962
@OFF:0xf2a8
@SPK:
@JPN:　もう恐怖は僕の中にはない。
@ENG:

@IDX:16963
@OFF:0xf2d2
@SPK:
@JPN:　大丈夫。もう大丈夫だ。
@ENG:

@IDX:16966
@OFF:0xf449
@SPK:[\protag]
@JPN:　すいません。ちょっと気分が悪くなっちゃって……。
@ENG:

@IDX:16968
@OFF:0xf4be
@SPK:［鏑木］
@JPN:　そうか……いや、いればいいんだ。内線が繋がってるのに誰も出ないから驚いたよ。
@ENG:

@IDX:16971
@OFF:0xf542
@SPK:[\protag]
@JPN:　ホントにすいません。急に吐き気がしてきちゃって。
@ENG:

@IDX:16973
@OFF:0xf5b7
@SPK:［鏑木］
@JPN:　そう言えば朝もそんなことを言っていたな。大丈夫なのか？　だいぶ顔色悪いぞ。
@ENG:

@IDX:16976
@OFF:0xf639
@SPK:[\protag]
@JPN:　大丈夫です。もどしたら少し楽になってきました。それに薬も飲みましたし……。
@ENG:

@IDX:16978
@OFF:0xf6c8
@SPK:［鏑木］
@JPN:　大丈夫ならいいんだ。それで……作業のほうはどうなんだ？
@ENG:

@IDX:16981
@OFF:0xf736
@SPK:[\protag]
@JPN:　ええ、ちゃんと終わってます。確認してもらおうと思って内線をかけてたら急に……。
@ENG:

@IDX:16983
@OFF:0xf7c9
@SPK:［鏑木］
@JPN:　そうか。なら確認しに行こうか。
@ENG:

@IDX:16984
@OFF:0xf8ca
@SPK:
@JPN:　遺体の目は開いていなかった。
@ENG:

@IDX:16985
@OFF:0xf8f6
@SPK:
@JPN:　あれも僕の錯覚だったのか？
@ENG:

@IDX:16987
@OFF:0xf9cf
@SPK:［鏑木］
@JPN:　よし、ちゃんとできてるな。
@ENG:

@IDX:16990
@OFF:0xfa21
@SPK:[\protag]
@JPN:　あの、ちょっといいですか。
@ENG:

@IDX:16992
@OFF:0xfa80
@SPK:［鏑木］
@JPN:　なんだ？
@ENG:

@IDX:16995
@OFF:0xfac0
@SPK:[\protag]
@JPN:　遺体の目って開くことありますか？
@ENG:

@IDX:16997
@OFF:0xfb25
@SPK:［鏑木］
@JPN:　なんだ、また目が開いてたのか？
@ENG:

@IDX:17000
@OFF:0xfb7b
@SPK:[\protag]
@JPN:　いえ、開いてたって言うか、開いたって言うか……。
@ENG:

@IDX:17002
@OFF:0xfc6a
@SPK:［鏑木］
@JPN:　はっきりしないやつだな。なにが言いたいんだ？
@ENG:

@IDX:17005
@OFF:0xfcce
@SPK:[\protag]
@JPN:　あの、閉じてた目が開くことってありますか？
@ENG:

@IDX:17007
@OFF:0xfd3d
@SPK:［鏑木］
@JPN:　閉じてた目が開く？　勝手にか？
@ENG:

@IDX:17010
@OFF:0xfd93
@SPK:[\protag]
@JPN:　はい。
@ENG:

@IDX:17012
@OFF:0xfdde
@SPK:［鏑木］
@JPN:　手を添えて開くことはできるだろうが、勝手にってのは聞いたことないな……。
@ENG:

@IDX:17015
@OFF:0xfe5e
@SPK:[\protag]
@JPN:　そうですか……。
@ENG:

@IDX:17017
@OFF:0xfeb3
@SPK:［鏑木］
@JPN:　なんだ？　まさか、勝手に目が開いたりしたのか？
@ENG:

@IDX:17020
@OFF:0xff19
@SPK:[\protag]
@JPN:　いえ、たぶん僕の気のせいです。
@ENG:

@IDX:17022
@OFF:0xff7c
@SPK:［鏑木］
@JPN:　そうか……。他に質問がなければあがっていいぞ。
@ENG:

@IDX:17025
@OFF:0xffe2
@SPK:[\protag]
@JPN:　はい、じゃあ、失礼します。
@ENG:

@IDX:17026
@OFF:0x100f0
@SPK:
@JPN:　真魚が来ていなかったので、悪いとは思ったが先に　シャワーを浴びさせてもらう。
@ENG:

@IDX:17027
@OFF:0x1014c
@SPK:
@JPN:　熱いお湯を浴びると血管が拡張されて、疲れがどこ　かに押し流されていくような気がする。
@ENG:

@IDX:17028
@OFF:0x101c2
@SPK:
@JPN:　あれは僕の錯覚だった。
@ENG:

@IDX:17029
@OFF:0x101e8
@SPK:
@JPN:　電話も錯覚だ、ノックも錯覚だ。
@ENG:

@IDX:17030
@OFF:0x10216
@SPK:
@JPN:　きっと……テレビも錯覚だ……。
@ENG:

@IDX:17031
@OFF:0x10311
@SPK:
@JPN:　鏑木さんから何か聞いたのか、ミーティングの間、　真魚は僕のことを心配しっぱなしだった。
@ENG:

@IDX:17032
@OFF:0x10377
@SPK:
@JPN:　真魚にすまない気持ちになる。
@ENG:

@IDX:17033
@OFF:0x103a3
@SPK:
@JPN:　本当は僕が謝らなくちゃいけないのに。
@ENG:

@IDX:17034
@OFF:0x103e5
@SPK:
@JPN:　ふと恐ろしい考えが頭をよぎる。
@ENG:

@IDX:17035
@OFF:0x10413
@SPK:
@JPN:　もしかすると、あの真魚も錯覚なんじゃ……。
@ENG:

@IDX:17036
@OFF:0x1044d
@SPK:
@JPN:　いや、そんなはずはない。
@ENG:

@IDX:17037
@OFF:0x10475
@SPK:
@JPN:　真魚は実際に存在している。
@ENG:

@IDX:17038
@OFF:0x1049f
@SPK:
@JPN:　真魚は僕の担当。
@ENG:

@IDX:17039
@OFF:0x104bf
@SPK:
@JPN:　真魚は……。
@ENG:

@IDX:17040
@OFF:0x104eb
@SPK:
@JPN:　ベンチに腰を下ろして気持ちを落ち着かせる。
@ENG:

@IDX:17041
@OFF:0x10525
@SPK:
@JPN:　そんなはずはない。
@ENG:

@IDX:17042
@OFF:0x10547
@SPK:
@JPN:　現実は現実。
@ENG:

@IDX:17043
@OFF:0x10563
@SPK:
@JPN:　錯覚は錯覚。
@ENG:

@IDX:17044
@OFF:0x1057f
@SPK:
@JPN:　僕はちゃんと認識できている。
@ENG:

@IDX:17045
@OFF:0x10683
@SPK:
@JPN:　……本当にそうか？
@ENG:

@IDX:17046
@OFF:0x106a5
@SPK:
@JPN:　自分に自信が持てなくなる。
@ENG:

@IDX:17047
@OFF:0x10741
@SPK:
@JPN:　こうしてベンチに座っていると思っていることも、　実は錯覚で、本当は洗い場の床に座り込んでいるの　かもしれない……。
@ENG:

@IDX:17048
@OFF:0x107d3
@SPK:
@JPN:　何をバカなことを……。
@ENG:

@IDX:17049
@OFF:0x107f9
@SPK:
@JPN:　ブンブンと頭を振って、おぞましく鬱屈した考えを　頭から追い出そうとする。
@ENG:

@IDX:17050
@OFF:0x10851
@SPK:
@JPN:　一人で考えていると、どんどん恐ろしい方向に頭が　行ってしまう。
@ENG:

@IDX:17051
@OFF:0x108ad
@SPK:
@JPN:　一人になるのが怖い。
@ENG:

@IDX:17052
@OFF:0x108d1
@SPK:
@JPN:　あの部屋に戻ってじっとしているのが怖い。
@ENG:

@IDX:17053
@OFF:0x10909
@SPK:
@JPN:　今度はどんな幻が見えるのか……。
@ENG:

@IDX:17054
@OFF:0x10939
@SPK:
@JPN:　いや、それは本当に幻なのか、それともこんなこと　を考える僕の存在自体が、何者かの空想の産物なの　だろうか……。
@ENG:

@IDX:17055
@OFF:0x109c7
@SPK:
@JPN:　パッと心に一人の女性の姿が浮かぶ。
@ENG:

@IDX:17056
@OFF:0x109f9
@SPK:
@JPN:　……あの人なら僕を助けてくれるはずだ。
@ENG:

@IDX:17057
@OFF:0x10a2f
@SPK:
@JPN:　僕の心を癒してくれるはずだ。
@ENG:

@IDX:17058
@OFF:0x10a5b
@SPK:
@JPN:　きっと……きっとそうだ。
@ENG:

@IDX:17059
@OFF:0x10a83
@SPK:
@JPN:　行こう、あの人のところへ。
@ENG:

@IDX:17060
@OFF:0x10ac1
@SPK:
@JPN:　副院長のところへ……。
@ENG:

@IDX:17061
@OFF:0x10bae
@SPK:
@JPN:　副院長室の扉の前に立つ。
@ENG:

@IDX:17062
@OFF:0x10bd6
@SPK:
@JPN:　それだけでも胸が高鳴る。
@ENG:

@IDX:17063
@OFF:0x10bfe
@SPK:
@JPN:　前に来た時の副院長との性交が思い出される。
@ENG:

@IDX:17064
@OFF:0x10c4a
@SPK:
@JPN:　激しく僕の上で腰をくねらせる副院長。
@ENG:

@IDX:17065
@OFF:0x10c7e
@SPK:
@JPN:　妖艶な汗の飛沫が、副院長特有の香気をさらに強く　際立たせて、僕の股間に力をみなぎらせる。
@ENG:

@IDX:17066
@OFF:0x10cf6
@SPK:
@JPN:　ん？　……ちょっと待て。
@ENG:

@IDX:17067
@OFF:0x10d26
@SPK:
@JPN:　それは、いつのことだ？
@ENG:

@IDX:17068
@OFF:0x10d4c
@SPK:
@JPN:　確かに激しく交わったような記憶がある。
@ENG:

@IDX:17069
@OFF:0x10d82
@SPK:
@JPN:　だが、それがいつのことなのか思い出せない。
@ENG:

@IDX:17070
@OFF:0x10dcc
@SPK:
@JPN:　前……。
@ENG:

@IDX:17071
@OFF:0x10de4
@SPK:
@JPN:　前に副院長室に来たのっていつだ？
@ENG:

@IDX:17072
@OFF:0x10e14
@SPK:
@JPN:　確か……昨夜……。
@ENG:

@IDX:17073
@OFF:0x10e36
@SPK:
@JPN:　薬をもらいに来て……この扉をノックした……。
@ENG:

@IDX:17074
@OFF:0x10e82
@SPK:
@JPN:　おぼろげな記憶のピースが、頭の中を漂う。
@ENG:

@IDX:17075
@OFF:0x10eba
@SPK:
@JPN:　薬をもらおうと副院長室の扉を叩いた。
@ENG:

@IDX:17076
@OFF:0x10eee
@SPK:
@JPN:　副院長と激しく交わった。
@ENG:

@IDX:17077
@OFF:0x10f16
@SPK:
@JPN:　うまくその間が繋がらない。
@ENG:

@IDX:17078
@OFF:0x10f52
@SPK:
@JPN:　違うのか？
@ENG:

@IDX:17079
@OFF:0x10f6c
@SPK:
@JPN:　このセックスの記憶は昨日のものではないのか？
@ENG:

@IDX:17080
@OFF:0x10fa8
@SPK:
@JPN:　考えるほど、思考が混濁の中に呑み込まれていく。　
@ENG:

@IDX:17081
@OFF:0x10ffa
@SPK:
@JPN:　夜の仕事をした……副院長室に来た……。
@ENG:

@IDX:17082
@OFF:0x11030
@SPK:
@JPN:　そこまでは一連の記憶として思い出せる。
@ENG:

@IDX:17083
@OFF:0x11066
@SPK:
@JPN:　ここに来て、扉の前に立って、ノックして……。
@ENG:

@IDX:17084
@OFF:0x11165
@SPK:
@JPN:　うぅうぅぅ、ダメだ、その先が繋がらない。
@ENG:

@IDX:17085
@OFF:0x1119d
@SPK:
@JPN:　なんだ、一体なんなんだ。
@ENG:

@IDX:17086
@OFF:0x111d7
@SPK:
@JPN:　『何もなかった』
@ENG:

@IDX:17087
@OFF:0x111f7
@SPK:
@JPN:　副院長の言葉が蘇ってくる。
@ENG:

@IDX:17088
@OFF:0x11233
@SPK:
@JPN:　何もなかった。
@ENG:

@IDX:17089
@OFF:0x11251
@SPK:
@JPN:　何もなかった。
@ENG:

@IDX:17090
@OFF:0x1126f
@SPK:
@JPN:　何もなかった。
@ENG:

@IDX:17091
@OFF:0x112a1
@SPK:
@JPN:　頭の中で何度も繰り返してみる。
@ENG:

@IDX:17092
@OFF:0x112e1
@SPK:
@JPN:　何もなかった。
@ENG:

@IDX:17093
@OFF:0x112ff
@SPK:
@JPN:　何もなかった。
@ENG:

@IDX:17094
@OFF:0x1131d
@SPK:
@JPN:　何もなかった。
@ENG:

@IDX:17095
@OFF:0x1134f
@SPK:
@JPN:　口に出して呟いてみる。
@ENG:

@IDX:17098
@OFF:0x113b1
@SPK:[\protag]
@JPN:　何もなかった……何もなかった……。
@ENG:

@IDX:17099
@OFF:0x1140d
@SPK:
@JPN:　そうしていると、頭の中の混乱が収まってくる。
@ENG:

@IDX:17100
@OFF:0x11449
@SPK:
@JPN:　そうだ、何もなかったんだ。
@ENG:

@IDX:17101
@OFF:0x11473
@SPK:
@JPN:　副院長がそう言うんだ。
@ENG:

@IDX:17102
@OFF:0x11499
@SPK:
@JPN:　何もなかったに決まっている。
@ENG:

@IDX:17103
@OFF:0x114d3
@SPK:
@JPN:　……副院長？
@ENG:

@IDX:17104
@OFF:0x114ef
@SPK:
@JPN:　ぷぷっ！　うわはははは！
@ENG:

@IDX:17105
@OFF:0x11517
@SPK:
@JPN:　そうだ、副院長に会いに来たんだった。
@ENG:

@IDX:17106
@OFF:0x1154b
@SPK:
@JPN:　扉の前で突っ立って、僕は何をしているんだ。
@ENG:

@IDX:17107
@OFF:0x11585
@SPK:
@JPN:　これじゃ、まるで馬鹿じゃないか。
@ENG:

@IDX:17108
@OFF:0x115b5
@SPK:
@JPN:　ぷぷぷぷぷっ。
@ENG:

@IDX:17111
@OFF:0x11621
@SPK:[\protag]
@JPN:　副院長。
@ENG:

@IDX:17114
@OFF:0x1168f
@SPK:[\protag]
@JPN:　副院長？
@ENG:

@IDX:17115
@OFF:0x116cd
@SPK:
@JPN:　返事がない。
@ENG:

@IDX:17116
@OFF:0x116e9
@SPK:
@JPN:　いないのか、副院長？
@ENG:

@IDX:17119
@OFF:0x1175b
@SPK:[\protag]
@JPN:　いないんですか？　副院長！
@ENG:

@IDX:17120
@OFF:0x117bb
@SPK:
@JPN:　手をかけたノブがすんなり回る。
@ENG:

@IDX:17121
@OFF:0x117e9
@SPK:
@JPN:　鍵はかかっていないみたいだ。
@ENG:

@IDX:17122
@OFF:0x11815
@SPK:
@JPN:　ノックしても返事はなかった。
@ENG:

@IDX:17123
@OFF:0x11841
@SPK:
@JPN:　もしかすると仮眠室にいるのかもしれない。
@ENG:

@IDX:17124
@OFF:0x11879
@SPK:
@JPN:　だったら、ここでノックしても聞こえないだろう。　
@ENG:

@IDX:17125
@OFF:0x118cb
@SPK:
@JPN:　それなら中に入らないとな。
@ENG:

@IDX:17126
@OFF:0x118f5
@SPK:
@JPN:　ドアを開けようと腕に力を込める。
@ENG:

@IDX:17127
@OFF:0x119f8
@SPK:
@JPN:　その途端、頭の中の警報ランプが点滅し始めた。
@ENG:

@IDX:17128
@OFF:0x11afb
@SPK:
@JPN:　入ったらやばい。
@ENG:

@IDX:17129
@OFF:0x11b1b
@SPK:
@JPN:　この中には入らない方がいい。
@ENG:

@IDX:17130
@OFF:0x11c0e
@SPK:
@JPN:　理由はまったく分からない。
@ENG:

@IDX:17131
@OFF:0x11c38
@SPK:
@JPN:　それでも、脳の奥底から送られてくるこの警告には　従った方がいいと、本能は告げていた。
@ENG:

@IDX:17132
@OFF:0x11d63
@SPK:
@JPN:　しかし、感情は副院長に会いたいと言っている。
@ENG:

@IDX:17133
@OFF:0x11d9f
@SPK:
@JPN:　身体も、副院長とやりたいと要求してくる。
@ENG:

@IDX:17134
@OFF:0x11e9e
@SPK:
@JPN:　どうすることもできずに、副院長室のノブを握った　まま固まってしまう。
@ENG:

@IDX:17135
@OFF:0x11f19
@SPK:
@JPN:　　　　　『……洗ってくれるの……』
@ENG:

@IDX:17136
@OFF:0x12012
@SPK:
@JPN:　……！？
@ENG:

@IDX:17137
@OFF:0x1202a
@SPK:
@JPN:　その声を聞いた途端、金縛りが解ける。
@ENG:

@IDX:17138
@OFF:0x1205e
@SPK:
@JPN:　周りを見回しても誰もいない。
@ENG:

@IDX:17139
@OFF:0x120b1
@SPK:
@JPN:　　　　『やっと、洗ってくれるの……』
@ENG:

@IDX:17140
@OFF:0x121ac
@SPK:
@JPN:　錯覚だ。
@ENG:

@IDX:17141
@OFF:0x121c4
@SPK:
@JPN:　空耳だ。
@ENG:

@IDX:17142
@OFF:0x121dc
@SPK:
@JPN:　幻聴だ。
@ENG:

@IDX:17143
@OFF:0x1221b
@SPK:
@JPN:　　　　『早く洗ってくれないと、私……』
@ENG:

@IDX:17144
@OFF:0x12327
@SPK:
@JPN:　！？
@ENG:

@IDX:17145
@OFF:0x1233b
@SPK:
@JPN:　な、なんだ……。
@ENG:

@IDX:17146
@OFF:0x1235b
@SPK:
@JPN:　一瞬だけ、何か思い出したような気が……。
@ENG:

@IDX:17147
@OFF:0x12393
@SPK:
@JPN:　それに、またこの感覚……。
@ENG:

@IDX:17148
@OFF:0x123d1
@SPK:
@JPN:　罪悔の念、亡失感……そして怖れ。
@ENG:

@IDX:17149
@OFF:0x12415
@SPK:
@JPN:　思わず胸を押さえて跪いてしまう。
@ENG:

@IDX:17150
@OFF:0x12457
@SPK:
@JPN:　違う。僕じゃない。僕はやっていない。
@ENG:

@IDX:17151
@OFF:0x1248b
@SPK:
@JPN:　僕は何もやっていない。僕は悪くない。
@ENG:

@IDX:17152
@OFF:0x124d1
@SPK:
@JPN:　頭の中を満たす否定の言葉。
@ENG:

@IDX:17153
@OFF:0x124fb
@SPK:
@JPN:　必死に『それ』を拒絶する。
@ENG:

@IDX:17154
@OFF:0x12537
@SPK:
@JPN:　『それ』が何かは分からないが、『それ』は決して　認めてはいけないこと……。
@ENG:

@IDX:17155
@OFF:0x125a3
@SPK:
@JPN:　ここにいてはダメだ。
@ENG:

@IDX:17156
@OFF:0x125c7
@SPK:
@JPN:　ここにいてはダメだ。
@ENG:

@IDX:17157
@OFF:0x125eb
@SPK:
@JPN:　その意識だけが強くなる。
@ENG:

@IDX:17158
@OFF:0x12625
@SPK:
@JPN:　ここにいては思い出してしまう。
@ENG:

@IDX:17159
@OFF:0x12653
@SPK:
@JPN:　だからここにいてはいけない。
@ENG:

@IDX:17160
@OFF:0x12691
@SPK:
@JPN:　それは思い出してはいけないこと。
@ENG:

@IDX:17161
@OFF:0x126c1
@SPK:
@JPN:　それは認めてはいけないこと。
@ENG:

@IDX:17162
@OFF:0x126ed
@SPK:
@JPN:　それは……。
@ENG:

@IDX:17163
@OFF:0x12730
@SPK:
@JPN:　　　　　『洗ってくれないの……？』
@ENG:

@IDX:17164
@OFF:0x127db
@SPK:
@JPN:　僕は逃げ出した。
@ENG:

@IDX:17165
@OFF:0x127fb
@SPK:
@JPN:　一人でいるのが怖かった。
@ENG:

@IDX:17166
@OFF:0x12823
@SPK:
@JPN:　猛烈に人恋しくなった。
@ENG:

@IDX:17167
@OFF:0x12849
@SPK:
@JPN:　生きている人間の中にいたかった。
@ENG:

@IDX:17168
@OFF:0x128f7
@SPK:
@JPN:　ロビーの喧噪に身を委ねる。
@ENG:

@IDX:17169
@OFF:0x12921
@SPK:
@JPN:　この人たちは、確かにそこに存在している。
@ENG:

@IDX:17170
@OFF:0x12959
@SPK:
@JPN:　錯覚じゃない。
@ENG:

@IDX:17171
@OFF:0x12977
@SPK:
@JPN:　僕の幻覚じゃない。
@ENG:

@IDX:17172
@OFF:0x129ab
@SPK:
@JPN:　ベンチに座ってただじっとしている僕を見て怪訝な　顔をする人もいたが、そんなことを気にする余裕は　僕にはなかった。
@ENG:

@IDX:17173
@OFF:0x12a3d
@SPK:
@JPN:　ここには現実がある。
@ENG:

@IDX:17174
@OFF:0x12a61
@SPK:
@JPN:　ここにいれば現実の中にいられる。
@ENG:

@IDX:17175
@OFF:0x12a91
@SPK:
@JPN:　実感を伴った現実の中に……。
@ENG:

@IDX:17177
@OFF:0x12b08
@SPK:［女の声］
@JPN:　大丈夫ですか……？
@ENG:

@IDX:17180
@OFF:0x12b52
@SPK:[\protag]
@JPN:　え？
@ENG:

@IDX:17182
@OFF:0x12c11
@SPK:［美和子］
@JPN:　あれ？　バイト君か。
@ENG:

@IDX:17185
@OFF:0x12c5d
@SPK:[\protag]
@JPN:　真田、さん……。
@ENG:

@IDX:17186
@OFF:0x12ca1
@SPK:
@JPN:　ぼんやりと見つめ返す先には、真田さんがいた。
@ENG:

@IDX:17187
@OFF:0x12cdd
@SPK:
@JPN:　これは幻覚か？
@ENG:

@IDX:17188
@OFF:0x12cfb
@SPK:
@JPN:　いや、ここで真田さんと会うのはおかしくない。
@ENG:

@IDX:17189
@OFF:0x12d37
@SPK:
@JPN:　これは現実だ。
@ENG:

@IDX:17192
@OFF:0x12d91
@SPK:[\protag]
@JPN:　どうしたんですか……？
@ENG:

@IDX:17194
@OFF:0x12e64
@SPK:［美和子］
@JPN:　ロビーに気分の悪そうな人がいるって連絡があってね。
@ENG:

@IDX:17197
@OFF:0x12ece
@SPK:[\protag]
@JPN:　そうなんですか。
@ENG:

@IDX:17199
@OFF:0x12f25
@SPK:［美和子］
@JPN:　で、たぶんキミのことだと思うんだけど。大丈夫？
@ENG:

@IDX:17202
@OFF:0x12f8b
@SPK:[\protag]
@JPN:　気分悪そうに見えますか、僕？
@ENG:

@IDX:17204
@OFF:0x12fee
@SPK:［美和子］
@JPN:　ええ、かなりダルそうに見えるわ。
@ENG:

@IDX:17207
@OFF:0x13046
@SPK:[\protag]
@JPN:　そうですか。
@ENG:

@IDX:17209
@OFF:0x13099
@SPK:［美和子］
@JPN:　で、実際はどうなの？
@ENG:

@IDX:17212
@OFF:0x130e5
@SPK:[\protag]
@JPN:　調子は悪くないです……。気分がいいわけでもないですけど。
@ENG:

@IDX:17214
@OFF:0x13164
@SPK:［美和子］
@JPN:　そっか。
@ENG:

@IDX:17217
@OFF:0x131a4
@SPK:[\protag]
@JPN:　それだけですか。
@ENG:

@IDX:17219
@OFF:0x131fb
@SPK:［美和子］
@JPN:　えっと、もう一つあるの。
@ENG:

@IDX:17222
@OFF:0x1324b
@SPK:[\protag]
@JPN:　もう一つ、ですか？
@ENG:

@IDX:17224
@OFF:0x1331a
@SPK:［美和子］
@JPN:　その、言いにくいんだけど……。
@ENG:

@IDX:17227
@OFF:0x13370
@SPK:[\protag]
@JPN:　もしかして、ここで休むなってことですか？
@ENG:

@IDX:17229
@OFF:0x13455
@SPK:［美和子］
@JPN:　え？　何で分かったの？
@ENG:

@IDX:17232
@OFF:0x134a3
@SPK:[\protag]
@JPN:　僕のことを気味悪そうに見てる人がいましたからね。苦情でも出たんじゃないですか。
@ENG:

@IDX:17234
@OFF:0x135ae
@SPK:［美和子］
@JPN:　ごめんね、追い出すみたいで。
@ENG:

@IDX:17237
@OFF:0x13602
@SPK:[\protag]
@JPN:　分かってます。真田さんのせいじゃありませんよ。
@ENG:

@IDX:17238
@OFF:0x13664
@SPK:
@JPN:　バッグを肩にかけて立ち上がる。
@ENG:

@IDX:17239
@OFF:0x13692
@SPK:
@JPN:　どうしよう。
@ENG:

@IDX:17240
@OFF:0x136ae
@SPK:
@JPN:　部屋には戻りたくない。
@ENG:

@IDX:17241
@OFF:0x136d4
@SPK:
@JPN:　一人になったらまた幻覚に襲われるかもしれない。　
@ENG:

@IDX:17243
@OFF:0x138b1
@SPK:［美和子］
@JPN:　だ、大丈夫！？
@ENG:

@IDX:17244
@OFF:0x138f3
@SPK:
@JPN:　立ち眩みか？
@ENG:

@IDX:17245
@OFF:0x1390f
@SPK:
@JPN:　足下がふらついて立っていられなくなった。
@ENG:

@IDX:17246
@OFF:0x13947
@SPK:
@JPN:　真田さんが咄嗟に支えてくれなかったら、昏倒して　いたかもしれない。
@ENG:

@IDX:17247
@OFF:0x13a2e
@SPK:
@JPN:　足下の不安定な感じは収まるどころか、さらに酷く　なってくる。
@ENG:

@IDX:17248
@OFF:0x13a7a
@SPK:
@JPN:　ゆらゆらと世界全体が揺れている。
@ENG:

@IDX:17250
@OFF:0x13af5
@SPK:［美和子］
@JPN:　ねえ、大丈夫なの？
@ENG:

@IDX:17253
@OFF:0x13b3f
@SPK:[\protag]
@JPN:　ひっ！？
@ENG:

@IDX:17255
@OFF:0x13be5
@SPK:［美和子］
@JPN:　きゃっ！！
@ENG:

@IDX:17256
@OFF:0x13c3f
@SPK:
@JPN:　な、なんだこいつ。
@ENG:

@IDX:17257
@OFF:0x13c61
@SPK:
@JPN:　なんでこんなところに……。
@ENG:

@IDX:17259
@OFF:0x13d5d
@SPK:［美和子］
@JPN:　ちょっと！　急に突き飛ばすなんて酷いじゃない！
@ENG:

@IDX:17260
@OFF:0x13dc1
@SPK:
@JPN:　な、なんで、なんでこんなところに……。
@ENG:

@IDX:17261
@OFF:0x13df7
@SPK:
@JPN:　周りにいる人間は誰もこいつに気づいていない。
@ENG:

@IDX:17262
@OFF:0x13e33
@SPK:
@JPN:　どうして、どうして誰もこいつに気づかないんだ？　
@ENG:

@IDX:17264
@OFF:0x13f45
@SPK:［美和子］
@JPN:　なに？　どうしたの、そんな顔して？
@ENG:

@IDX:17265
@OFF:0x13f9f
@SPK:
@JPN:　来るな……こっちに来るな……。
@ENG:

@IDX:17267
@OFF:0x1409f
@SPK:［美和子］
@JPN:　ちょっと、バイト君。ほんとに顔色悪いよ、大丈夫？
@ENG:

@IDX:17270
@OFF:0x14107
@SPK:[\protag]
@JPN:　ーーーーーっ！？
@ENG:

@IDX:17271
@OFF:0x14225
@SPK:
@JPN:　ロビーから脱兎のごとく逃げ出して、自分の部屋に　駆け込む。
@ENG:

@IDX:17272
@OFF:0x1426f
@SPK:
@JPN:　頭から布団を被って全てを拒絶する。
@ENG:

@IDX:17273
@OFF:0x1430e
@SPK:
@JPN:　ウソだ。あんなのウソだ。
@ENG:

@IDX:17274
@OFF:0x14336
@SPK:
@JPN:　遺体なわけない。あれは真田さんだ。
@ENG:

@IDX:17275
@OFF:0x14368
@SPK:
@JPN:　みんな幻覚だ。
@ENG:

@IDX:17276
@OFF:0x14386
@SPK:
@JPN:　こんなことあるわけない。
@ENG:

@IDX:17277
@OFF:0x143ae
@SPK:
@JPN:　そうだ。現実なわけない。
@ENG:

@IDX:17278
@OFF:0x143e8
@SPK:
@JPN:　夢なんだ。
@ENG:

@IDX:17279
@OFF:0x14402
@SPK:
@JPN:　みんな夢なんだ。
@ENG:

@IDX:17280
@OFF:0x14422
@SPK:
@JPN:　きっと僕はまだ寝てるんだ。
@ENG:

@IDX:17281
@OFF:0x14470
@SPK:
@JPN:　この音も幻覚だ。
@ENG:

@IDX:17282
@OFF:0x14490
@SPK:
@JPN:　気にしたら負けだ。
@ENG:

@IDX:17283
@OFF:0x144d6
@SPK:
@JPN:　もう騙されない。
@ENG:

@IDX:17284
@OFF:0x144f6
@SPK:
@JPN:　あんな音には騙されない。
@ENG:

@IDX:17285
@OFF:0x14542
@SPK:
@JPN:　開けても誰もいないんだ。
@ENG:

@IDX:17286
@OFF:0x1456a
@SPK:
@JPN:　あんなノックはウソなんだ。
@ENG:

@IDX:17287
@OFF:0x145b2
@SPK:
@JPN:　これもウソだ。
@ENG:

@IDX:17288
@OFF:0x145d0
@SPK:
@JPN:　電話なんて鳴ってないんだ。
@ENG:

@IDX:17289
@OFF:0x1461e
@SPK:
@JPN:　こんな幻覚には騙されない。
@ENG:

@IDX:17290
@OFF:0x14648
@SPK:
@JPN:　僕にウソはもう通用しない。
@ENG:

@IDX:17291
@OFF:0x14690
@SPK:
@JPN:　電話なんて鳴っていない！
@ENG:

@IDX:17292
@OFF:0x146b8
@SPK:
@JPN:　電話なんて鳴っていない！
@ENG:

@IDX:17293
@OFF:0x1470c
@SPK:
@JPN:　点いてない。テレビなんて点いてない。
@ENG:

@IDX:17294
@OFF:0x14740
@SPK:
@JPN:　気のせいだ。こんなのは気のせいだ。
@ENG:

@IDX:17295
@OFF:0x14788
@SPK:
@JPN:　ウソだ。ウソだ。
@ENG:

@IDX:17296
@OFF:0x147b6
@SPK:
@JPN:　こんなのウソだ。
@ENG:

@IDX:17297
@OFF:0x147e4
@SPK:
@JPN:　みんなウソだ。
@ENG:

@IDX:17298
@OFF:0x1480a
@SPK:
@JPN:　電話なんか鳴ってない。
@ENG:

@IDX:17299
@OFF:0x1483e
@SPK:
@JPN:　テレビなんか点いてない。
@ENG:

@IDX:17300
@OFF:0x14874
@SPK:
@JPN:　ノックなんかされてない。
@ENG:

@IDX:17328
@OFF:0x14cf0
@SPK:[\protag]
@JPN:　ウソだーーーーーーーーー！！
@ENG:

@IDX:17329
@OFF:0x14d50
@SPK:
@JPN:　突然訪れる静寂。
@ENG:

@IDX:17330
@OFF:0x14d70
@SPK:
@JPN:　ノックも電話もテレビも……。
@ENG:

@IDX:17331
@OFF:0x14d9c
@SPK:
@JPN:　全ての音が止まる。
@ENG:

@IDX:17332
@OFF:0x14dd0
@SPK:
@JPN:　ほら。
@ENG:

@IDX:17333
@OFF:0x14de6
@SPK:
@JPN:　やっぱりウソだったんだ。
@ENG:

@IDX:17334
@OFF:0x14e0e
@SPK:
@JPN:　みんなウソだったんだ。
@ENG:

@IDX:17335
@OFF:0x14e44
@SPK:
@JPN:　僕を騙そうとしても無駄だ。
@ENG:

@IDX:17336
@OFF:0x14e6e
@SPK:
@JPN:　もう引っかからない。
@ENG:

@IDX:17337
@OFF:0x14e92
@SPK:
@JPN:　幻なんかに騙されない。
@ENG:

@IDX:17338
@OFF:0x14eb8
@SPK:
@JPN:　現実に生きてる僕の方が強いんだ！
@ENG:

@IDX:17339
@OFF:0x14f0a
@SPK:
@JPN:　！？
@ENG:

@IDX:17340
@OFF:0x14f1e
@SPK:
@JPN:　み、水？　水の音？
@ENG:

@IDX:17341
@OFF:0x14f40
@SPK:
@JPN:　水道の蛇口は、ちゃんと締まってるはず……。
@ENG:

@IDX:17342
@OFF:0x14f7a
@SPK:
@JPN:　それとも、これも幻覚？
@ENG:

@IDX:17343
@OFF:0x14fc2
@SPK:
@JPN:　いや、もう幻覚には勝った。
@ENG:

@IDX:17344
@OFF:0x14fec
@SPK:
@JPN:　きっと、蛇口が緩んでるだけだ。
@ENG:

@IDX:17345
@OFF:0x1501a
@SPK:
@JPN:　これは現実の音だ。
@ENG:

@IDX:17346
@OFF:0x1503c
@SPK:
@JPN:　きっと……。
@ENG:

@IDX:17349
@OFF:0x150a6
@SPK:[\protag]
@JPN:　ひっ！？
@ENG:

@IDX:17350
@OFF:0x150e2
@SPK:
@JPN:　な、なんだ！？
@ENG:

@IDX:17351
@OFF:0x15100
@SPK:
@JPN:　何かが僕の足を掴んだ！？
@ENG:

@IDX:17352
@OFF:0x15128
@SPK:
@JPN:　い、いや、そんなはずはない。
@ENG:

@IDX:17353
@OFF:0x15154
@SPK:
@JPN:　だって、この部屋には僕しかいない。
@ENG:

@IDX:17354
@OFF:0x15186
@SPK:
@JPN:　僕しかいないんだ！
@ENG:

@IDX:17355
@OFF:0x151ba
@SPK:
@JPN:　で、でも、誰かが掴んでる。
@ENG:

@IDX:17356
@OFF:0x151e4
@SPK:
@JPN:　僕の足を掴んでるよ。
@ENG:

@IDX:17357
@OFF:0x15208
@SPK:
@JPN:　なんなのこれ、なんなの！？
@ENG:

@IDX:17360
@OFF:0x15280
@SPK:[\protag]
@JPN:　うわっ！！
@ENG:

@IDX:17361
@OFF:0x152c8
@SPK:
@JPN:　ま、また掴まれた！？
@ENG:

@IDX:17362
@OFF:0x152ec
@SPK:
@JPN:　今度は僕のふくらはぎを掴んでる！？
@ENG:

@IDX:17363
@OFF:0x1531e
@SPK:
@JPN:　ど、どういうこと、何をしたいの？
@ENG:

@IDX:17364
@OFF:0x1535e
@SPK:
@JPN:　ま、まさか、このままどんどん上がってくるの？
@ENG:

@IDX:17365
@OFF:0x1539a
@SPK:
@JPN:　い、いやだよ。いやだよこんなの。
@ENG:

@IDX:17366
@OFF:0x153ca
@SPK:
@JPN:　ウソに決まってる。
@ENG:

@IDX:17367
@OFF:0x153ec
@SPK:
@JPN:　これもウソなんだ。
@ENG:

@IDX:17368
@OFF:0x1540e
@SPK:
@JPN:　現実じゃない、現実じゃない……。
@ENG:

@IDX:17369
@OFF:0x15450
@SPK:
@JPN:　しかしいくら否定しようとも、掴まれた足の感触は　なくならない。
@ENG:

@IDX:17370
@OFF:0x154b0
@SPK:
@JPN:　まさか、ウソじゃないの？
@ENG:

@IDX:17371
@OFF:0x154d8
@SPK:
@JPN:　これ、ウソじゃないの？
@ENG:

@IDX:17372
@OFF:0x15510
@SPK:
@JPN:　現実なの？
@ENG:

@IDX:17373
@OFF:0x1552a
@SPK:
@JPN:　実際に誰かが僕の足を掴んでるの！？
@ENG:

@IDX:17374
@OFF:0x155d4
@SPK:
@JPN:　意を決して布団をめくり上げる。
@ENG:

@IDX:17375
@OFF:0x15602
@SPK:
@JPN:　…………。
@ENG:

@IDX:17376
@OFF:0x1561c
@SPK:
@JPN:　誰もいない。
@ENG:

@IDX:17377
@OFF:0x15638
@SPK:
@JPN:　誰も僕の足を掴んではいない。
@ENG:

@IDX:17378
@OFF:0x15674
@SPK:
@JPN:　やっぱりウソだった。
@ENG:

@IDX:17379
@OFF:0x15698
@SPK:
@JPN:　あんなの現実じゃなかった。
@ENG:

@IDX:17380
@OFF:0x156c2
@SPK:
@JPN:　当たり前だ。
@ENG:

@IDX:17381
@OFF:0x156de
@SPK:
@JPN:　僕の部屋には、僕以外誰もいないんだ。
@ENG:

@IDX:17382
@OFF:0x15712
@SPK:
@JPN:　誰かが僕の足を掴むはずなんてない。
@ENG:

@IDX:17383
@OFF:0x157c7
@SPK:
@JPN:　！？
@ENG:

@IDX:17384
@OFF:0x157db
@SPK:
@JPN:　う、ウソだ。
@ENG:

@IDX:17385
@OFF:0x157f7
@SPK:
@JPN:　テレビは点いてないよ……。
@ENG:

@IDX:17386
@OFF:0x15833
@SPK:
@JPN:　ゆっくりと振り向く。
@ENG:

@IDX:17387
@OFF:0x15857
@SPK:
@JPN:　ウソだということを確認するために。
@ENG:

@IDX:17388
@OFF:0x15889
@SPK:
@JPN:　テレビなんか点いてないことを確認するために。
@ENG:

@IDX:17389
@OFF:0x15954
@SPK:
@JPN:　　　　『私のことは洗わないの……？』
@ENG:

@IDX:17390
@OFF:0x15a42
@SPK:
@JPN:…
@ENG:

@IDX:17392
@OFF:0x15af5
@SPK:［真魚］
@JPN:　あー、やっぱりここにいたー！
@ENG:

@IDX:17395
@OFF:0x15c2b
@SPK:[\protag]
@JPN:　ああ、真魚か……。もう仕事の時間か？
@ENG:

@IDX:17397
@OFF:0x15c94
@SPK:［真魚］
@JPN:　『もう仕事の時間か？』じゃないよ！　いくら部屋に電話しても出ないからどうしたのかと思ったでしょ！
@ENG:

@IDX:17400
@OFF:0x15d2c
@SPK:[\protag]
@JPN:　ごめん。電話はほんとかどうか分からないから出れないんだ。
@ENG:

@IDX:17402
@OFF:0x15e1f
@SPK:［真魚］
@JPN:　は？　なに言ってんの？
@ENG:

@IDX:17405
@OFF:0x15e6d
@SPK:[\protag]
@JPN:　ちゃんと仕事しに来たんだからいいだろ……。
@ENG:

@IDX:17407
@OFF:0x15f52
@SPK:［真魚］
@JPN:　でも、予定が変わるかもしれないでしょ？
@ENG:

@IDX:17410
@OFF:0x15fb0
@SPK:[\protag]
@JPN:　変わったのか？
@ENG:

@IDX:17412
@OFF:0x1607d
@SPK:［真魚］
@JPN:　変わってないけどさ……。
@ENG:

@IDX:17415
@OFF:0x160cd
@SPK:[\protag]
@JPN:　じゃあ、いいじゃないか。
@ENG:

@IDX:17417
@OFF:0x1612a
@SPK:［真魚］
@JPN:　まあ、そうなんだけどさ……。なんか元気ないけど大丈夫？
@ENG:

@IDX:17420
@OFF:0x16198
@SPK:[\protag]
@JPN:　大丈夫だよ……。
@ENG:

@IDX:17422
@OFF:0x161ed
@SPK:［真魚］
@JPN:　もしつらかったら言ってね。
@ENG:

@IDX:17425
@OFF:0x1623f
@SPK:[\protag]
@JPN:　ああ。
@ENG:

@IDX:17427
@OFF:0x16300
@SPK:［真魚］
@JPN:　ほんとに元気ないなー。
@ENG:

@IDX:17430
@OFF:0x1634e
@SPK:[\protag]
@JPN:　大丈夫だから……。さっさとミーティング始めてくれ。
@ENG:

@IDX:17432
@OFF:0x1643b
@SPK:［真魚］
@JPN:　もー、人が心配してるのに……。
@ENG:

@IDX:17435
@OFF:0x16491
@SPK:[\protag]
@JPN:　いいから。ミーティング。
@ENG:

@IDX:17437
@OFF:0x16564
@SPK:［真魚］
@JPN:　分かったわよ！　もう……。今日最後のご遺体は女性が１体。傷はなし、以上。質問ある？
@ENG:

@IDX:17440
@OFF:0x165ee
@SPK:[\protag]
@JPN:　いや、ない。
@ENG:

@IDX:17442
@OFF:0x1663f
@SPK:［真魚］
@JPN:　じゃあ私、上にいるから。ほんとに無理しないでよ。
@ENG:

@IDX:17445
@OFF:0x166a7
@SPK:[\protag]
@JPN:　ああ……。
@ENG:

@IDX:17447
@OFF:0x1676c
@SPK:［真魚］
@JPN:　ほんとにだいじょぶかなー……。
@ENG:

@IDX:17448
@OFF:0x16889
@SPK:
@JPN:　久しぶりの女性の遺体。
@ENG:

@IDX:17449
@OFF:0x168af
@SPK:
@JPN:　別に興奮したりするわけでもない。
@ENG:

@IDX:17450
@OFF:0x168df
@SPK:
@JPN:　運ぶ時に軽いから楽。
@ENG:

@IDX:17451
@OFF:0x16903
@SPK:
@JPN:　でも凹凸が多くて洗いにくい。
@ENG:

@IDX:17452
@OFF:0x1692f
@SPK:
@JPN:　それくらいの感想しか持たない。
@ENG:

@IDX:17453
@OFF:0x1696d
@SPK:
@JPN:　だって、これは物なのだから。
@ENG:

@IDX:17454
@OFF:0x16999
@SPK:
@JPN:　動かない。話さない。
@ENG:

@IDX:17455
@OFF:0x169bd
@SPK:
@JPN:　当たり前だ。
@ENG:

@IDX:17456
@OFF:0x169d9
@SPK:
@JPN:　これは遺体なのだから。
@ENG:

@IDX:17457
@OFF:0x16a11
@SPK:
@JPN:　無表情に作業を進めていく。
@ENG:

@IDX:17458
@OFF:0x16a3b
@SPK:
@JPN:　デッキブラシで擦り、ホルマリンを落としていく。　
@ENG:

@IDX:17459
@OFF:0x16a8f
@SPK:
@JPN:　顔に手をやり、タワシで擦る。
@ENG:

@IDX:17460
@OFF:0x16b9b
@SPK:
@JPN:　！？
@ENG:

@IDX:17461
@OFF:0x16baf
@SPK:
@JPN:　一瞬、遺体の顔が別人に見えた。
@ENG:

@IDX:17462
@OFF:0x16bdd
@SPK:
@JPN:　それもよく知っている人の……。
@ENG:

@IDX:17463
@OFF:0x16c1d
@SPK:
@JPN:　気のせいだ。
@ENG:

@IDX:17464
@OFF:0x16c39
@SPK:
@JPN:　気のせいだ。
@ENG:

@IDX:17465
@OFF:0x16c55
@SPK:
@JPN:　疲れが溜まって幻覚が見えてるんだ。
@ENG:

@IDX:17466
@OFF:0x16c99
@SPK:
@JPN:　だが、手が進まない。
@ENG:

@IDX:17467
@OFF:0x16cbd
@SPK:
@JPN:　よろよろと立ち上がり、遺体から距離をとる。
@ENG:

@IDX:17468
@OFF:0x16d98
@SPK:
@JPN:　僕は知らない。
@ENG:

@IDX:17469
@OFF:0x16db6
@SPK:
@JPN:　こんな人は知らない。
@ENG:

@IDX:17470
@OFF:0x16dda
@SPK:
@JPN:　大丈夫。
@ENG:

@IDX:17471
@OFF:0x16df2
@SPK:
@JPN:　これはただの遺体。
@ENG:

@IDX:17472
@OFF:0x16e14
@SPK:
@JPN:　これは知らない人の成れの果て……。
@ENG:

@IDX:17473
@OFF:0x16e46
@SPK:
@JPN:　ただの……遺体だ！
@ENG:

@IDX:17474
@OFF:0x16e8f
@SPK:
@JPN:　　　　『じゃあ、早く洗いなさいよ……』
@ENG:

@IDX:17475
@OFF:0x16f88
@SPK:
@JPN:　！？
@ENG:

@IDX:17476
@OFF:0x16f9c
@SPK:
@JPN:　ま、また幻聴だ。
@ENG:

@IDX:17477
@OFF:0x16fbc
@SPK:
@JPN:　分かっている。分かってはいるんだ。
@ENG:

@IDX:17478
@OFF:0x16fee
@SPK:
@JPN:　遺体が話すわけがない。
@ENG:

@IDX:17479
@OFF:0x17014
@SPK:
@JPN:　そんなの絶対にあるはずがない。
@ENG:

@IDX:17480
@OFF:0x17069
@SPK:
@JPN:　　　　『いいから早く洗いなさいよ……』
@ENG:

@IDX:17481
@OFF:0x1715a
@SPK:
@JPN:　でも聞こえてくる。
@ENG:

@IDX:17482
@OFF:0x1717c
@SPK:
@JPN:　あの遺体から声が聞こえてくる。
@ENG:

@IDX:17483
@OFF:0x171aa
@SPK:
@JPN:　現実じゃない。
@ENG:

@IDX:17484
@OFF:0x171c8
@SPK:
@JPN:　こんなの現実じゃない。でも……。
@ENG:

@IDX:17485
@OFF:0x1721d
@SPK:
@JPN:　『あなたにとってはこれが現実なのよ。
@ENG:

@IDX:17486
@OFF:0x17251
@SPK:
@JPN:　　　　　　　　　　さあ、早く洗いなさい……』
@ENG:

@IDX:17489
@OFF:0x172c9
@SPK:[\protag]
@JPN:　はい……。ひっく。分かり、ました……ひっく。
@ENG:

@IDX:17490
@OFF:0x17331
@SPK:
@JPN:　遺体から聞こえてくる言葉に命じられるまま、清掃　作業を再開する。
@ENG:

@IDX:17491
@OFF:0x17381
@SPK:
@JPN:　こんなのおかしい。
@ENG:

@IDX:17492
@OFF:0x173a3
@SPK:
@JPN:　遺体がしゃべるなんて絶対におかしい。
@ENG:

@IDX:17493
@OFF:0x173d7
@SPK:
@JPN:　その言葉に答えるなんて、かなりおかしい。
@ENG:

@IDX:17494
@OFF:0x17421
@SPK:
@JPN:　でも、実際に聞こえるんだ。
@ENG:

@IDX:17495
@OFF:0x1744b
@SPK:
@JPN:　僕には聞こえて来るんだ。
@ENG:

@IDX:17496
@OFF:0x17473
@SPK:
@JPN:　仕方ないじゃないか……。
@ENG:

@IDX:17497
@OFF:0x174c0
@SPK:
@JPN:　『まったく、なに泣いてるのよ。
@ENG:

@IDX:17498
@OFF:0x174ee
@SPK:
@JPN:　　　　　　　イタッ！　もっと優しく洗ってよ』
@ENG:

@IDX:17501
@OFF:0x17566
@SPK:[\protag]
@JPN:　ご、ごめんなさい。ひっく、ごめんなさい。
@ENG:

@IDX:17502
@OFF:0x175d7
@SPK:
@JPN:　『あなたの洗い方乱暴なのよね。
@ENG:

@IDX:17503
@OFF:0x17605
@SPK:
@JPN:　　　　　　分かってるの？
@ENG:

@IDX:17504
@OFF:0x1762d
@SPK:
@JPN:　　　　今までみんながどれだけ痛かったか……』
@ENG:

@IDX:17507
@OFF:0x176a5
@SPK:[\protag]
@JPN:　で、でも、遺体が痛がるなんて思わないし……。
@ENG:

@IDX:17508
@OFF:0x1771a
@SPK:
@JPN:　『言い訳なんて結構よ。つまり、あなたは
@ENG:

@IDX:17509
@OFF:0x17750
@SPK:
@JPN:　　　　人の痛みの分からない人間だった……。
@ENG:

@IDX:17510
@OFF:0x1778a
@SPK:
@JPN:　　　　　　　　　　結局はそういうことでしょ』
@ENG:

@IDX:17513
@OFF:0x17802
@SPK:[\protag]
@JPN:　ごめんなさい。ごめんなさい。ひっく、ごめんなさい。
@ENG:

@IDX:17516
@OFF:0x1786c
@SPK:[\protag]
@JPN:　今まで、ひっく……痛くしちゃって……ごめんなさい。うぅ、乱暴に扱ってごめんなさい。気味悪がってごめんなさいぃ。
@ENG:

@IDX:17519
@OFF:0x17912
@SPK:[\protag]
@JPN:　ごめんなさい……ひっく、ごめんなさい……ぐすっ……ごめんなさい。ごめんなさい……。
@ENG:

@IDX:17521
@OFF:0x17af0
@SPK:［鏑木］
@JPN:　どうした。目が赤いぞ。大丈夫か？
@ENG:

@IDX:17524
@OFF:0x17b48
@SPK:[\protag]
@JPN:　大丈夫、です。
@ENG:

@IDX:17526
@OFF:0x17b9b
@SPK:［鏑木］
@JPN:　そうか、ホルマリンは劇物だからな。気をつけろよ。
@ENG:

@IDX:17529
@OFF:0x17c03
@SPK:[\protag]
@JPN:　はい。
@ENG:

@IDX:17531
@OFF:0x17c4e
@SPK:［鏑木］
@JPN:　作業の方は問題なしだ。もうあがっていいぞ。
@ENG:

@IDX:17534
@OFF:0x17cb0
@SPK:[\protag]
@JPN:　分かり……ました。
@ENG:

@IDX:17537
@OFF:0x17dc3
@SPK:[\protag]
@JPN:　ひっく、ひっく……。
@ENG:

@IDX:17538
@OFF:0x17e0b
@SPK:
@JPN:　僕はおかしくなっちゃったんだ。
@ENG:

@IDX:17539
@OFF:0x17e39
@SPK:
@JPN:　遺体としゃべるなんて普通じゃない。
@ENG:

@IDX:17540
@OFF:0x17e6b
@SPK:
@JPN:　狂っちゃったんだ。
@ENG:

@IDX:17541
@OFF:0x17e8d
@SPK:
@JPN:　頭がおかしくなっちゃったんだ……。
@ENG:

@IDX:17543
@OFF:0x17f1a
@SPK:［真魚］
@JPN:　入るよー。
@ENG:

@IDX:17546
@OFF:0x17ff0
@SPK:[\protag]
@JPN:　あっ！
@ENG:

@IDX:17548
@OFF:0x180b1
@SPK:［真魚］
@JPN:　あ、あれ、もしかして泣いてる？
@ENG:

@IDX:17551
@OFF:0x18107
@SPK:[\protag]
@JPN:　そ、そんなわけないだろ。
@ENG:

@IDX:17553
@OFF:0x18164
@SPK:［真魚］
@JPN:　…………。
@ENG:

@IDX:17556
@OFF:0x181a6
@SPK:[\protag]
@JPN:　ちょっと、ホルマリンが目に染みただけだよ。
@ENG:

@IDX:17558
@OFF:0x1828b
@SPK:［真魚］
@JPN:　ま、いいや。そういうことにしといてあげる。
@ENG:

@IDX:17561
@OFF:0x182ed
@SPK:[\protag]
@JPN:　…………。
@ENG:

@IDX:17563
@OFF:0x183b2
@SPK:［真魚］
@JPN:　はい、報告書。３枚あるから全部サインしちゃってね。今日の仕事はそれで終わり。ゆっくり休んでね。
@ENG:

@IDX:17566
@OFF:0x18448
@SPK:[\protag]
@JPN:　…………。
@ENG:

@IDX:17567
@OFF:0x18488
@SPK:
@JPN:　無言でサインして、真魚に差し出す。
@ENG:

@IDX:17568
@OFF:0x184ba
@SPK:
@JPN:　３体ともコメントは『特に異常なし』だ。
@ENG:

@IDX:17569
@OFF:0x18502
@SPK:
@JPN:　あれは僕だけに起こったもの。
@ENG:

@IDX:17570
@OFF:0x1852e
@SPK:
@JPN:　僕の頭の中だけの現象なんだ。絶対に。
@ENG:

@IDX:17571
@OFF:0x18572
@SPK:
@JPN:　僕は認めない。
@ENG:

@IDX:17572
@OFF:0x18590
@SPK:
@JPN:　あんなこと実際に起こるわけがない。
@ENG:

@IDX:17573
@OFF:0x185c2
@SPK:
@JPN:　あれはみんな幻だ。
@ENG:

@IDX:17574
@OFF:0x185e4
@SPK:
@JPN:　僕の脳内で流れた、誤った電気信号だ。
@ENG:

@IDX:17576
@OFF:0x186d5
@SPK:［真魚］
@JPN:　ねえ、もしかして怒ってる？
@ENG:

@IDX:17579
@OFF:0x18727
@SPK:[\protag]
@JPN:　…………。
@ENG:

@IDX:17581
@OFF:0x18776
@SPK:［真魚］
@JPN:　返事を聞かないでドアを開けちゃったことは謝るけどさ、男の子だって泣いてもいいんだよ？
@ENG:

@IDX:17584
@OFF:0x18802
@SPK:[\protag]
@JPN:　泣いてないって言ってるだろ！　もうほっといてくれ！
@ENG:

@IDX:17586
@OFF:0x188ef
@SPK:［真魚］
@JPN:　な、なによ、怒鳴っちゃったりして！　もう知らないから！　一人で泣いてればいいでしょ！！
@ENG:

@IDX:17587
@OFF:0x189db
@SPK:
@JPN:　自分でも分かっている。
@ENG:

@IDX:17588
@OFF:0x18a01
@SPK:
@JPN:　これではただの八つ当たりだ。
@ENG:

@IDX:17589
@OFF:0x18a2d
@SPK:
@JPN:　少し落ち着かないといけない。
@ENG:

@IDX:17590
@OFF:0x18a59
@SPK:
@JPN:　頭がおかしくなっちゃったのだって、元に戻るかも　しれない。
@ENG:

@IDX:17591
@OFF:0x18b1a
@SPK:
@JPN:　熱いお湯を浴びて、涙の跡を洗い流す。
@ENG:

@IDX:17592
@OFF:0x18b4e
@SPK:
@JPN:　ちょっと錯乱しただけだ。
@ENG:

@IDX:17593
@OFF:0x18b76
@SPK:
@JPN:　今は充分理解してる。
@ENG:

@IDX:17594
@OFF:0x18b9a
@SPK:
@JPN:　遺体はしゃべらない。
@ENG:

@IDX:17595
@OFF:0x18bbe
@SPK:
@JPN:　あれは幻聴だ。
@ENG:

@IDX:17596
@OFF:0x18bdc
@SPK:
@JPN:　僕の頭の中だけの声だ。
@ENG:

@IDX:17597
@OFF:0x18c70
@SPK:
@JPN:　シャワーを浴びて、着替える。
@ENG:

@IDX:17598
@OFF:0x18c9c
@SPK:
@JPN:　青い薬を飲む。
@ENG:

@IDX:17599
@OFF:0x18cba
@SPK:
@JPN:　これで完璧だ。
@ENG:

@IDX:17600
@OFF:0x18cea
@SPK:
@JPN:　もう疲れは感じない。
@ENG:

@IDX:17601
@OFF:0x18d0e
@SPK:
@JPN:　幻覚も見ないはずだ。
@ENG:

@IDX:17602
@OFF:0x18d42
@SPK:
@JPN:　副院長は言っていた。
@ENG:

@IDX:17603
@OFF:0x18d66
@SPK:
@JPN:　あれはストレスのせいだと。
@ENG:

@IDX:17604
@OFF:0x18d90
@SPK:
@JPN:　だからストレスさえ発散してスッキリすれば、もう　あんなことにはならないはずだ。
@ENG:

@IDX:17605
@OFF:0x18dfc
@SPK:
@JPN:　副院長にお願いしよう。
@ENG:

@IDX:17606
@OFF:0x18e22
@SPK:
@JPN:　ストレスを解消させてくださいって。
@ENG:

@IDX:17607
@OFF:0x18e54
@SPK:
@JPN:　きっと聞いてくれるはずだ。
@ENG:

@IDX:17608
@OFF:0x18e7e
@SPK:
@JPN:　そして、気持ちイイことをして寝てしまおう。
@ENG:

@IDX:17609
@OFF:0x18eb8
@SPK:
@JPN:　そうすれば、また明日からはいつものように働ける　はずだ。
@ENG:

@IDX:17610
@OFF:0x18fc2
@SPK:
@JPN:　スッキリして眠れば元通り。
@ENG:

@IDX:17611
@OFF:0x18fec
@SPK:
@JPN:　幻覚に悩まされることなんかない。
@ENG:

@IDX:17612
@OFF:0x1902e
@SPK:
@JPN:　僕はもうおかしくない。
@ENG:

@IDX:17613
@OFF:0x19054
@SPK:
@JPN:　僕の頭は壊れていない。
@ENG:

@IDX:17614
@OFF:0x1907a
@SPK:
@JPN:　僕の心は砕けていない……。
@ENG:

@IDX:17615
@OFF:0x190b6
@SPK:
@JPN:　副院長を求めて、ロビーまで来たところで、昼間の　出来事がふと頭をよぎる。
@ENG:

@IDX:17616
@OFF:0x19132
@SPK:
@JPN:　副院長室の前で湧き起こった激しい感情の奔流。
@ENG:

@IDX:17617
@OFF:0x1916e
@SPK:
@JPN:　罪悪感、喪亡感。そして恐怖。
@ENG:

@IDX:17618
@OFF:0x191be
@SPK:
@JPN:　ロビーで襲いかかってきた恐ろしい幻覚。
@ENG:

@IDX:17619
@OFF:0x191f4
@SPK:
@JPN:　生気の全く感じられない土気色の真田さんの姿。
@ENG:

@IDX:17620
@OFF:0x19230
@SPK:
@JPN:　聞こえてくる僕を責める声。
@ENG:

@IDX:17621
@OFF:0x19274
@SPK:
@JPN:　あれらは全て幻覚だ。
@ENG:

@IDX:17622
@OFF:0x19298
@SPK:
@JPN:　頭では分かっている。
@ENG:

@IDX:17623
@OFF:0x192bc
@SPK:
@JPN:　でも、どうしようもなく怖くなってくる。
@ENG:

@IDX:17624
@OFF:0x19304
@SPK:
@JPN:　また、あんな幻覚に襲われたらどうしよう。
@ENG:

@IDX:17625
@OFF:0x1933c
@SPK:
@JPN:　また、あんな感情に捕らわれたらどうしよう。
@ENG:

@IDX:17626
@OFF:0x19386
@SPK:
@JPN:　大丈夫だ。
@ENG:

@IDX:17627
@OFF:0x193a0
@SPK:
@JPN:　僕は大丈夫だ。
@ENG:

@IDX:17628
@OFF:0x193be
@SPK:
@JPN:　薬も効いている。
@ENG:

@IDX:17629
@OFF:0x193de
@SPK:
@JPN:　疲れも残っていない。
@ENG:

@IDX:17630
@OFF:0x19414
@SPK:
@JPN:　大丈夫だ。
@ENG:

@IDX:17631
@OFF:0x1942e
@SPK:
@JPN:　大丈夫だ。
@ENG:

@IDX:17634
@OFF:0x1948a
@SPK:[\protag]
@JPN:　大丈夫だ……。
@ENG:

@IDX:17636
@OFF:0x194df
@SPK:［男の声］
@JPN:　おい！
@ENG:

@IDX:17639
@OFF:0x1951d
@SPK:[\protag]
@JPN:　大丈夫だ。僕は大丈夫だ……。
@ENG:

@IDX:17641
@OFF:0x19580
@SPK:［男の声］
@JPN:　おい！　無視するな！！
@ENG:

@IDX:17644
@OFF:0x195ce
@SPK:[\protag]
@JPN:　僕は大丈夫だ……。
@ENG:

@IDX:17646
@OFF:0x1968f
@SPK:［北］
@JPN:　何が『大丈夫』だ。こんなに近くで呼ばれても気づかないなんて、大丈夫じゃないだろう？
@ENG:

@IDX:17649
@OFF:0x19719
@SPK:[\protag]
@JPN:　僕は大丈夫だ。
@ENG:

@IDX:17651
@OFF:0x197e0
@SPK:［北］
@JPN:　まあいい……。それはそうと、お前、まだ病院にいたんだな。とっくにいなくなってるかと思ってたよ。僕の機嫌を損ねたんだからな。
@ENG:

@IDX:17654
@OFF:0x19892
@SPK:[\protag]
@JPN:　僕は大丈夫だ。
@ENG:

@IDX:17656
@OFF:0x198e3
@SPK:［北］
@JPN:　それとも、まだ知らないのか？　お前が怒らせた相手が理事の娘婿だってことに。
@ENG:

@IDX:17659
@OFF:0x19965
@SPK:[\protag]
@JPN:　僕は大丈夫だ。
@ENG:

@IDX:17661
@OFF:0x199b6
@SPK:［北］
@JPN:　あのなぁ……いいか、酔ってる奴に限って自分は酔ってないって言うんだ。その理論からすると、大丈夫って言ってるお前は、大丈夫じゃないんだよ。どぅーゆーあんだーすたん？
@ENG:

@IDX:17664
@OFF:0x19a90
@SPK:[\protag]
@JPN:　僕は大丈夫だ。
@ENG:

@IDX:17666
@OFF:0x19ae1
@SPK:［北］
@JPN:　……まあ、別にお前が大丈夫かどうかなんて、僕には関係ないけどな。
@ENG:

@IDX:17669
@OFF:0x19b59
@SPK:[\protag]
@JPN:　僕は大丈夫だ。
@ENG:

@IDX:17671
@OFF:0x19baa
@SPK:［北］
@JPN:　それより、お前はこの病院で一体何をしてるんだ？　あんまり見かけないけど。
@ENG:

@IDX:17674
@OFF:0x19c2a
@SPK:[\protag]
@JPN:　僕は大丈夫だ。
@ENG:

@IDX:17676
@OFF:0x19c7b
@SPK:［北］
@JPN:　はいはい、お前は大丈夫だよ。それで？　僕の質問に答えるつもりはないんだな？
@ENG:

@IDX:17679
@OFF:0x19cfd
@SPK:[\protag]
@JPN:　僕は大丈夫だ。
@ENG:

@IDX:17681
@OFF:0x19d4e
@SPK:［北］
@JPN:　はあ……さすがの僕もいい加減に怒るぞ？　さっきから馬鹿の一つ覚えみたいに『僕は大丈夫だ』を繰り返してさ。
@ENG:

@IDX:17684
@OFF:0x19dee
@SPK:[\protag]
@JPN:　僕は大丈夫だ。
@ENG:

@IDX:17686
@OFF:0x19eb5
@SPK:［北］
@JPN:　大丈夫なわけないだろ！　何を聞いても『僕は大丈夫』って、頭おかしいんじゃないのか！！
@ENG:

@IDX:17687
@OFF:0x19fb4
@SPK:
@JPN:　世界が安定を失う。
@ENG:

@IDX:17688
@OFF:0x19fd6
@SPK:
@JPN:　僕は大丈夫じゃない？
@ENG:

@IDX:17689
@OFF:0x19ffa
@SPK:
@JPN:　僕はおかしい？
@ENG:

@IDX:17690
@OFF:0x1a028
@SPK:
@JPN:　そんな……。
@ENG:

@IDX:17691
@OFF:0x1a044
@SPK:
@JPN:　そんなわけない！
@ENG:

@IDX:17692
@OFF:0x1a064
@SPK:
@JPN:　僕は大丈夫なんだ。
@ENG:

@IDX:17693
@OFF:0x1a086
@SPK:
@JPN:　僕は生きてるんだ！！
@ENG:

@IDX:17694
@OFF:0x1a0aa
@SPK:
@JPN:　僕はちゃんとしてるんだ！！
@ENG:

@IDX:17697
@OFF:0x1a110
@SPK:[\protag]
@JPN:　僕は大丈夫だ！！！
@ENG:

@IDX:17699
@OFF:0x1a165
@SPK:［北］
@JPN:　うるさい！！　大声で言ったって同じだ！！
@ENG:

@IDX:17700
@OFF:0x1a1c3
@SPK:
@JPN:　な、なんでこんなところに遺体があるんだよ。
@ENG:

@IDX:17701
@OFF:0x1a1fd
@SPK:
@JPN:　どうして、遺体がしゃべってるんだよ。
@ENG:

@IDX:17702
@OFF:0x1a243
@SPK:
@JPN:　僕を見るなよ。
@ENG:

@IDX:17703
@OFF:0x1a261
@SPK:
@JPN:　僕に話しかけるなよ。
@ENG:

@IDX:17704
@OFF:0x1a285
@SPK:
@JPN:　僕に触るなよ！
@ENG:

@IDX:17706
@OFF:0x1a2ea
@SPK:［北］
@JPN:　まったく、どうしてお前みたいな奴がこの病院で働けるんだ？いくら副院長のお気に入りだからって、おかしすぎるだろ！？　必要なのは仕事よりも入院なんじゃないのか？
@ENG:

@IDX:17709
@OFF:0x1a3be
@SPK:[\protag]
@JPN:　僕は大丈夫だ！！！
@ENG:

@IDX:17711
@OFF:0x1a413
@SPK:［北］
@JPN:　うるさい！！！
@ENG:

@IDX:17714
@OFF:0x1a459
@SPK:[\protag]
@JPN:　僕は大丈夫だ！！！
@ENG:

@IDX:17716
@OFF:0x1a4ae
@SPK:［北］
@JPN:　うるさいって言ってるだろ！！！
@ENG:

@IDX:17719
@OFF:0x1a504
@SPK:[\protag]
@JPN:　僕は大丈夫だ！！！
@ENG:

@IDX:17721
@OFF:0x1a559
@SPK:［北］
@JPN:　あーもう、こんなところで騒いでたら目立ってしょうがない！ほらっ！　こっちに来い！！
@ENG:

@IDX:17722
@OFF:0x1a5e1
@SPK:
@JPN:　遺体が僕の腕を掴む。
@ENG:

@IDX:17723
@OFF:0x1a605
@SPK:
@JPN:　遺体が動いているだけで許せないのに、あまつさえ　腕を掴みやがった！
@ENG:

@IDX:17726
@OFF:0x1a693
@SPK:[\protag]
@JPN:　触るな！！！
@ENG:

@IDX:17727
@OFF:0x1a790
@SPK:
@JPN:　殴りつけた。
@ENG:

@IDX:17728
@OFF:0x1a7ac
@SPK:
@JPN:　遺体を……殴りつけた。
@ENG:

@IDX:17729
@OFF:0x1a7d2
@SPK:
@JPN:　なのになぜ白衣の男が倒れている？
@ENG:

@IDX:17731
@OFF:0x1a851
@SPK:［北］
@JPN:　ぼ、僕を殴ったな！　この僕を！
@ENG:

@IDX:17734
@OFF:0x1a8a7
@SPK:[\protag]
@JPN:　あ……あれ？
@ENG:

@IDX:17735
@OFF:0x1a8e9
@SPK:
@JPN:　ま、まさか、幻だったのか。
@ENG:

@IDX:17736
@OFF:0x1a913
@SPK:
@JPN:　僕の腕を掴んでいたのは、この白衣の男？
@ENG:

@IDX:17737
@OFF:0x1a955
@SPK:
@JPN:　そうだ。
@ENG:

@IDX:17738
@OFF:0x1a96d
@SPK:
@JPN:　あの遺体が見えるまではこの男が話していたような　気がする。
@ENG:

@IDX:17739
@OFF:0x1a9b7
@SPK:
@JPN:　なぜ気づかなかった。
@ENG:

@IDX:17740
@OFF:0x1a9db
@SPK:
@JPN:　遺体が動くわけがない。
@ENG:

@IDX:17741
@OFF:0x1aa01
@SPK:
@JPN:　遺体が話すわけがない。
@ENG:

@IDX:17742
@OFF:0x1aa27
@SPK:
@JPN:　遺体が僕の腕を掴むわけがない……。
@ENG:

@IDX:17744
@OFF:0x1aa8b
@SPK:　なら、あの遺体に見えていたのは
@JPN:…
@ENG:

@IDX:17745
@OFF:0x1aa99
@SPK:
@JPN:…
@ENG:

@IDX:17746
@OFF:0x1aaad
@SPK:
@JPN:この男だ。
@ENG:

@IDX:17748
@OFF:0x1ab0c
@SPK:［北］
@JPN:　訴えてやる。訴えてやる！　貴様を病院から追い出してやる！
@ENG:

@IDX:17751
@OFF:0x1ab7c
@SPK:[\protag]
@JPN:　ち、違うんです。僕は、僕は……。
@ENG:

@IDX:17753
@OFF:0x1abdf
@SPK:［北］
@JPN:　何が違うって言うんだ！？　殴ったじゃないか！　お前のその拳で……僕を殴ったじゃないか！！
@ENG:

@IDX:17756
@OFF:0x1ac6f
@SPK:[\protag]
@JPN:　違う！　僕が殴ったのはあなたじゃない！　違うんだ……僕はあなたなんか殴ってない！
@ENG:

@IDX:17758
@OFF:0x1ad02
@SPK:［北］
@JPN:　殴ったのは僕じゃない？　じゃあ、僕は誰に殴られたんだ？　お前は誰を殴ったんだ！　え？　言ってみろ！？
@ENG:

@IDX:17760
@OFF:0x1adb3
@SPK:［女の声］
@JPN:　それぐらいにしてくださらない。北先生。
@ENG:

@IDX:17763
@OFF:0x1ae11
@SPK:[\protag]
@JPN:　え？
@ENG:

@IDX:17765
@OFF:0x1afe8
@SPK:［北］
@JPN:　ふ、副院長……。し、しかしですね……。
@ENG:

@IDX:17767
@OFF:0x1b180
@SPK:［千草］
@JPN:　院内で傷害事件なんて、あなたもまずいんじゃなくって？
@ENG:

@IDX:17769
@OFF:0x1b1f7
@SPK:［北］
@JPN:　うっ……それはそうですが……。
@ENG:

@IDX:17771
@OFF:0x1b387
@SPK:［千草］
@JPN:　この子には私が言い聞かせますから。それとも……このあとのお約束はキャンセルってことでよろしいかしら？
@ENG:

@IDX:17773
@OFF:0x1b55f
@SPK:［北］
@JPN:　……わ、分かりました。ですが、この埋め合わせはしてもらいますからね、必ず。
@ENG:

@IDX:17775
@OFF:0x1b5ee
@SPK:［千草］
@JPN:　分かってます。車は正面に回してください。すぐに行きます。
@ENG:

@IDX:17777
@OFF:0x1b796
@SPK:［北］
@JPN:　おい、お前！　副院長に感謝するんだな。
@ENG:

@IDX:17778
@OFF:0x1b8b3
@SPK:
@JPN:　そう吐き捨て、白衣の男は僕の前から消えた。
@ENG:

@IDX:17779
@OFF:0x1b8ed
@SPK:
@JPN:　ロビーに残ったのは、苦虫を噛み潰したような顔を　している副院長と、呆然と立ち尽くす僕。
@ENG:

@IDX:17782
@OFF:0x1ba4a
@SPK:[\protag]
@JPN:　ふ、副院長、どうしてここに……。
@ENG:

@IDX:17784
@OFF:0x1baaf
@SPK:［千草］
@JPN:　あれだけ騒いでいれば、誰だって気がつくわ。分かってるの？ここは病院なのよ。
@ENG:

@IDX:17787
@OFF:0x1bb31
@SPK:[\protag]
@JPN:　すいません。
@ENG:

@IDX:17789
@OFF:0x1bb82
@SPK:［千草］
@JPN:　それにあなた、誰を殴ったのか分かってるの？　理事の娘婿の北先生よ。医者としては二流、男としては三流の使えない男……でも理事会への影響力は無視できないほど大きいわ。
@ENG:

@IDX:17792
@OFF:0x1bc5c
@SPK:[\protag]
@JPN:　し、知らなかったんです、あの人が誰かなんて。それに、僕はあの人を殴るつもりなんかなくって……。
@ENG:

@IDX:17794
@OFF:0x1bcff
@SPK:［千草］
@JPN:　言い訳は男らしくないわよ。
@ENG:

@IDX:17797
@OFF:0x1bd51
@SPK:[\protag]
@JPN:　言い訳じゃありません！！　本当にあの人が見えてなかったんです。遺体が……ご遺体が動いてるように見えてたんです。
@ENG:

@IDX:17799
@OFF:0x1be7a
@SPK:［千草］
@JPN:　……そう。また幻覚が見えてたのね。
@ENG:

@IDX:17802
@OFF:0x1bed4
@SPK:[\protag]
@JPN:　信じてくれるんですか？
@ENG:

@IDX:17804
@OFF:0x1bfa9
@SPK:［千草］
@JPN:　信じないとしょうがないでしょう。昨日に続いて今日まで……前のあなたじゃ考えられないことだわ。
@ENG:

@IDX:17807
@OFF:0x1c03d
@SPK:[\protag]
@JPN:　昨日？　昨日って何のことですか？　僕、昨日も何かしてるんですか？
@ENG:

@IDX:17809
@OFF:0x1c138
@SPK:［千草］
@JPN:　……やっぱり。あなた覚えてないのね？
@ENG:

@IDX:17812
@OFF:0x1c194
@SPK:[\protag]
@JPN:　覚えてない……？　何のことですか！？　僕がなにをしたって言うんですか！？
@ENG:

@IDX:17814
@OFF:0x1c221
@SPK:［千草］
@JPN:　…………。
@ENG:

@IDX:17817
@OFF:0x1c263
@SPK:[\protag]
@JPN:　副院長！
@ENG:

@IDX:17819
@OFF:0x1c2b0
@SPK:［千草］
@JPN:　……覚えてないんならその方がいいわ。
@ENG:

@IDX:17822
@OFF:0x1c30c
@SPK:[\protag]
@JPN:　覚えてない方がいいって……。そ、それは覚えてなくてもいいことなんですか？
@ENG:

@IDX:17824
@OFF:0x1c399
@SPK:［千草］
@JPN:　……そうね。あなたは覚えてない方がいい……私のためにも、あなたのためにも……。
@ENG:

@IDX:17827
@OFF:0x1c431
@SPK:[\protag]
@JPN:　で、でも……。
@ENG:

@IDX:17829
@OFF:0x1c4fe
@SPK:［千草］
@JPN:　いい、何もなかったの、昨日は。
@ENG:

@IDX:17832
@OFF:0x1c554
@SPK:[\protag]
@JPN:　……分かり、ました。副院長の言う通りにします……。
@ENG:

@IDX:17834
@OFF:0x1c653
@SPK:［千草］
@JPN:　もう、うるさいわね。
@ENG:

@IDX:17835
@OFF:0x1c6fb
@SPK:
@JPN:ごめんなさい。このあと約束があるの。相談なら明日のるから、今日はもう帰って寝なさい。
@ENG:

@IDX:17838
@OFF:0x1c785
@SPK:[\protag]
@JPN:　あ、あの、副院長！　部屋で待ってちゃだめですか……。
@ENG:

@IDX:17840
@OFF:0x1c7fe
@SPK:［千草］
@JPN:　帰りは何時になるか、分からないわよ？
@ENG:

@IDX:17843
@OFF:0x1c85a
@SPK:[\protag]
@JPN:　待ってます。部屋に一人でいるよりずっといいです。もう部屋で一人なのはいやなんです。
@ENG:

@IDX:17845
@OFF:0x1c8f1
@SPK:［千草］
@JPN:　何かあったの？
@ENG:

@IDX:17848
@OFF:0x1c937
@SPK:[\protag]
@JPN:　そ、それは……。
@ENG:

@IDX:17850
@OFF:0x1ca18
@SPK:［千草］
@JPN:　ふう、時間切れね。
@ENG:

@IDX:17852
@OFF:0x1caf7
@SPK:［千草］
@JPN:　副院長室の鍵よ。仮眠室に泊まっていきなさい。
@ENG:

@IDX:17855
@OFF:0x1cb5b
@SPK:[\protag]
@JPN:　副院長は……。
@ENG:

@IDX:17857
@OFF:0x1cc24
@SPK:［千草］
@JPN:　心配しないで。ちゃんと戻ってくるから……。帰ったら起こしてあげる、だから安心して眠りなさい。
@ENG:

@IDX:17858
@OFF:0x1ccc8
@SPK:
@JPN:　僕の額にキスをして、副院長は行ってしまった。
@ENG:

@IDX:17859
@OFF:0x1cd04
@SPK:
@JPN:　フワッと漂う副院長の残り香。
@ENG:

@IDX:17860
@OFF:0x1cd30
@SPK:
@JPN:　僕は一体、昨日何をしたのか。
@ENG:

@IDX:17861
@OFF:0x1cd5c
@SPK:
@JPN:　すっぽりと記憶の一部が抜けてしまっていることと　何か関係があるのか。
@ENG:

@IDX:17862
@OFF:0x1cdc2
@SPK:
@JPN:　考えるのはよそう。
@ENG:

@IDX:17863
@OFF:0x1cde4
@SPK:
@JPN:　副院長が何もないと言うんだ。それでいい。
@ENG:

@IDX:17864
@OFF:0x1cee0
@SPK:
@JPN:　服院長室の扉の前に立つ。
@ENG:

@IDX:17865
@OFF:0x1cf1a
@SPK:
@JPN:　扉の鍵を開ける。
@ENG:

@IDX:17866
@OFF:0x1cf3a
@SPK:
@JPN:　だが……ノブに伸ばした手が固まって動かない。
@ENG:

@IDX:17867
@OFF:0x1cf9a
@SPK:
@JPN:　……またあの感情に襲われるかもしれない。
@ENG:

@IDX:17868
@OFF:0x1cfd2
@SPK:
@JPN:　罪悪感、喪失感、そして拭いきれない恐怖。
@ENG:

@IDX:17869
@OFF:0x1d01c
@SPK:
@JPN:　『安心して』
@ENG:

@IDX:17870
@OFF:0x1d038
@SPK:
@JPN:　副院長の言葉が蘇る。
@ENG:

@IDX:17871
@OFF:0x1d05c
@SPK:
@JPN:　その言葉に後押しされてノブに手を伸ばす。
@ENG:

@IDX:17872
@OFF:0x1d0b6
@SPK:
@JPN:　ノブを握った。
@ENG:

@IDX:17873
@OFF:0x1d0d4
@SPK:
@JPN:　何の感情も生まれない。
@ENG:

@IDX:17874
@OFF:0x1d0fa
@SPK:
@JPN:　大丈夫だ。
@ENG:

@IDX:17875
@OFF:0x1d114
@SPK:
@JPN:　怖くない。
@ENG:

@IDX:17876
@OFF:0x1d150
@SPK:
@JPN:　扉を開く。
@ENG:

@IDX:17877
@OFF:0x1d16a
@SPK:
@JPN:　副院長の香りが漏れてくる。
@ENG:

@IDX:17878
@OFF:0x1d194
@SPK:
@JPN:　沈香の香り。
@ENG:

@IDX:17879
@OFF:0x1d1b0
@SPK:
@JPN:　副院長の好きな香り。
@ENG:

@IDX:17880
@OFF:0x1d33d
@SPK:
@JPN:　仮眠室の高級なベッドに倒れ込む。
@ENG:

@IDX:17881
@OFF:0x1d36d
@SPK:
@JPN:　微かに残った副院長の匂い。
@ENG:

@IDX:17882
@OFF:0x1d397
@SPK:
@JPN:　この匂いに包まれていれば安心して眠れる。
@ENG:

@IDX:17884
@OFF:0x1d3fb
@SPK:　副院長
@JPN:…
@ENG:

@IDX:17885
@OFF:0x1d409
@SPK:
@JPN:…
@ENG:

@IDX:17887
@OFF:0x1d433
@SPK:。
@JPN:　…
@ENG:

@IDX:17888
@OFF:0x1d443
@SPK:
@JPN:…
@ENG:

@IDX:17890
@OFF:0x1d46f
@SPK:副院長
@JPN:…
@ENG:

@IDX:17891
@OFF:0x1d47d
@SPK:
@JPN:…
@ENG:

@IDX:17893
@OFF:0x1d4a7
@SPK:。
@JPN:　副
@ENG:

@IDX:17894
@OFF:0x1d4b7
@SPK:
@JPN:…
@ENG:

@IDX:17895
@OFF:0x1d4c5
@SPK:
@JPN:…
@ENG:

@IDX:17896
@OFF:0x1d4d3
@SPK:
@JPN:…
@ENG:

@IDX:17897
@OFF:0x1d4e1
@SPK:
@JPN:…
@ENG:

@IDX:17899
@OFF:0x1d50b
@SPK:院長
@JPN:…
@ENG:

@IDX:17900
@OFF:0x1d519
@SPK:
@JPN:…
@ENG:

@IDX:17902
@OFF:0x1d5b2
@SPK:。
@JPN:　…
@ENG:

@IDX:17903
@OFF:0x1d5c2
@SPK:
@JPN:…
@ENG:

@IDX:17905
@OFF:0x1d5ec
@SPK:副い
@JPN:…
@ENG:

@IDX:17906
@OFF:0x1d5fa
@SPK:
@JPN:…
@ENG:

@IDX:17909
@OFF:0x1d640
@SPK:ん、
@JPN:…
@ENG:

@IDX:17910
@OFF:0x1d64e
@SPK:
@JPN:…
@ENG:

@IDX:17911
@OFF:0x1d65c
@SPK:
@JPN:う
@ENG:

@IDX:17912
@OFF:0x1d66a
@SPK:
@JPN:…
@ENG:

@IDX:17913
@OFF:0x1d678
@SPK:
@JPN:…
@ENG:

